古曽部焼

古曽部焼の歴史と特徴

古曽部焼（こそべやき）は、大阪府高槻市に位置する古曾部村で、江戸時代後期から大正時代にかけて制作された陶器です。この地域は、農村として長い歴史を持つ場所であり、特に五十嵐家の古曽部窯が発展を支えました。近年では、古曽部焼の作品が二つの時期に分けられています。一つは明治末期までの古曽部焼、もう一つは大正年間に河合磊三を招いて焼かれた復興古曽部（磊三古曽部）です。また、昭和後期から平成にかけては新古曽部として新たな作品が生まれています。

古曽部の地と初期の陶器について

古曽部の地域は、老ノ坂山地と大阪平野の境界に位置し、農業が盛んな土地柄でした。ここでは、古曽部入道 能因による陶器作りの伝承が残っており、彼が古曽部の地で陶器を手で成形していたとされています。しかし、その時期の作品についての証拠は現存していません。

五十嵐家と古曽部窯

古曽部焼は、五十嵐家以外には存在せず、「古曽部」の名称は五十嵐窯の屋号と同義です。初代の五十嵐新平が1790年ごろに開窯し、日用品から一品ものの茶器まで幅広く生産されました。特に彼は京都の製陶技術を学び、古曽部のスタイルを確立しました。五十嵐家の窯は、丘陵の境界に位置し、登り窯を築いて陶器を焼いていました。

古曽部窯の歴代と特徴

五十嵐家に続く世代は、時代の変化に適応しながら古曽部焼を発展させました。初代から五代まで、彼らはそれぞれ異なるスタイルや技術を持ち込み、古曽部焼の多様性を生み出しました。中でも、三代目の五十嵐信平は雑器の大量生産体制を整え、信楽土を取り入れることで品質向上に寄与しました。

古曽部焼の特徴

古曽部焼は、茶道具をはじめとして、碗、皿、器、徳利などの日用雑器を手がけており、その作品には各地の作風が取り入れられています。特に抹茶碗や香炉、花器などは、様々なスタイルで人気があります。また、銘印には「古曽部」や「くらわんか」の字体が用いられており、個々の作品には製作者の名前が刻まれていることが多いです。

新古曽部の復興

昭和期に入ると、古曽部焼の伝統を惜しむ陶芸家たちが、新たに古曽部スタイルを学び、高槻市で新たな窯を開設します。その結果、古曽部の銘を用いた現代的な作品が生まれ、再評価を受けることとなります。その中でも、七里寿弥や寒川義崇といった陶芸家は、「古曽部焼」を名乗り、作品の製造を行っています。

おわりに

古曽部焼はその特色ある歴史と技術により、現代の陶器の中でも特別な位置を占める存在です。今後も多くの作家によってその伝統が守られ続け、さらなる発展を期待したいところです。地元の文化や伝統を理解しながら、その魅力を感じることができる作品として、古曽部焼は魅力的です。

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