古澤潔夫

古澤潔夫（ふるさわ いさお）は、1915年6月25日に生まれ、2001年3月3日に生涯を閉じた日本の植物学者です。福岡県出身の古澤は、旧制福岡県中学修猷館、松山高等学校を経て、1940年に東京帝国大学理学部植物学科を卒業しました。卒業後は、同大学で副手、助手として勤務し、1952年には助教授、1975年には教授に昇進しました。彼は東京大学大学院理学系研究科附属植物園（小石川植物園）にも勤務し、植物学の研究に尽力しました。

古澤の専門分野は、トウダイグサ属（ユーフォルビア属）でした。彼はこの属の分類学的研究に深く携わり、その成果は多くの論文や著作にまとめられています。また、研究活動は国内にとどまらず、1942年には中国山西省での学術調査に参加、1969年から1970年、1974年から1975年にはドイツに渡り、現地の研究者たちと共同で研究を行いました。このような国際的な研究活動を通して、彼は植物学の発展に大きく貢献しました。

古澤の著作には、以下のようなものがあります。

1976年: Mannigfaltigkeit der Chromosomenzahl bei der Gattung Euphorbia（トウダイグサ属における染色体数の多様性） - Beitrage zur Biologie der Pflanzen（植物生物学への貢献）誌に掲載
1975年: Die Botanischen Garten Japans（日本の植物園）- Gartn.-Bot. Brief（園芸植物通信）誌に掲載
1973年: Taxonomische Untersuchung der Gattung Cotoneaster (Rosaceen) auf karpologischer Grundlage（コトネアスター属（バラ科）の果実学的基礎に基づく分類学的研究） - 47ページに及ぶ研究論文
1964年: Effect of Manganese ions on the IAA-induced elongation of Avena coleoptile sections inhibited by some organic acids（いくつかの有機酸によって阻害されたイネ科植物の幼葉鞘のIAA誘導伸長に対するマンガンイオンの効果）- Plant and Cell Physiology（植物と細胞生理学）誌に掲載（柴岡弘と共著）
* 1954年: Eine nochmalige Durchsicht des herkommlichen systems der Euphorbiaceen im weiteren Sinne（広義のトウダイグサ科の従来の体系の再検討）- 東京大学理学部紀要植物学に掲載

これらの著作は、古澤の研究活動の幅広さと深さを示しており、植物分類学における重要な資料となっています。

古澤潔夫は、研究者としてだけでなく、教育者としても多くの学生を指導しました。彼の教え子たちは、日本の植物学界を牽引する存在として活躍しています。彼の研究に対する情熱と、後進の育成に対する尽力は、植物学界に大きな足跡を残しました。なお、古澤の業績については、東京大学理学部広報に掲載された川上幸男による「古澤潔夫教授」という記事で詳しく紹介されています。

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