可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約

可塑性爆薬探知条約

可塑性爆薬探知条約（Convention on the Marking of Plastic Explosives for the Purpose of Detection）は、主にプラスチック爆薬に対する国際的な安全基準を設けることを目的とした多国間の条約です。この条約は1988年に発生したパンナム機爆破事件、いわゆるロッカビー事件を背景に制定されました。この事件では、プラスチック爆薬が使用され、多くの命が失われたことから、国際的な対策が急務とされるようになりました。

条約の目的

可塑性爆薬に対して爆発物マーカーの追加を義務付け、これにより爆薬の検出を容易にすることを目指しています。特に、RDXやHMXなどの成分を使用した爆薬は、通常の爆発物探知機では検出が難しいため、この条約はテロ対策において重要な役割を果たしています。条約の中では、未添加の可塑性爆薬の製造や移動を禁止し、廃棄義務を設けることで、より安全な環境を確保することが求められています。

日本における対応

日本は1997年にこの条約を批准しました。第140回国会にて批准が可決された後、同年9月に正式に批准され、「可塑性爆薬に含める物質等を定める告示」（平成9年通商産業省告示第548号）が施行されました。この告示によって、国内で取り扱われる可塑性爆薬についての基準が定められ、全国での監視体制が強化されています。

課題と問題点

ただし、この条約にはいくつかの課題も存在します。まず、未加盟国が製造した爆薬については、条約の適用外となるため、これらの爆薬が爆発物探知機を逃れる可能性があります。また、テロリストがRDXなどの材料を用いて自作した場合、これも発見が難しい状況になります。さらに、製造年が古い爆薬には条約の規定が適用されないため、これに関連するリスクが残ります。

総括

可塑性爆薬探知条約は、爆薬テロによる脅威に対抗するために重要な国際的枠組みを提供しますが、その実効性を高めるためには、全世界的な協力と合意が必要です。特に、条約未加入国との連携や、技術の進化に伴う新しいリスクへの対応が求められています。今後もこの条約の影響力と関連する問題について、国際社会が注視を続ける必要があります。

参考リンク

• - 条文（UNHCR）
• - 締約国一覧 (PDF) - 署名日、批准書寄託日、効力発生日を含む

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