可採埋蔵量

可採埋蔵量とは？資源の限界とピーク理論

可採埋蔵量（または経済可採埋蔵量）は、地下に存在する石油や天然ガスなどの資源のうち、現在の市場価格で技術的・経済的に採掘可能な埋蔵量から、すでに生産された分を差し引いた量を指します。既生産量を含めた総量は、究極可採埋蔵量または経済総埋蔵量と呼ばれます。

可採埋蔵量の変動要因

可採埋蔵量は、経済状況によって大きく変動するという欠点があります。例えば、価格が高騰すると、採掘コストの高い資源も採算が合うようになり、可採埋蔵量は増加します。逆に、不況などで価格が下落すると、コストの低い鉱山のみが採掘対象となり、可採埋蔵量は減少します。そのため、可採埋蔵量だけで資源の枯渇年数を判断することはできません。

また、可採埋蔵量を年間の生産量で割った「可採年数」も、経済動向に左右されるため、実際の資源枯渇年数とは乖離する可能性があります。

埋蔵量の種類

油田やガス田に存在する地下資源の総量は、原始埋蔵量または究極埋蔵量と呼ばれます。そのうち、経済性を考慮せずに技術的に採掘可能な量をベース埋蔵量といいます。可採埋蔵量がゼロになったとしても、地下資源が完全に枯渇したわけではありません。

技術革新や資源価格の上昇によって、これまで採掘不可能だった資源が採掘可能になることで、可採埋蔵量は増加する可能性があります。また、新たな油田やガス田の発見によって、原始埋蔵量自体が増加することもあります。

可採埋蔵量は、回収の確実性によって以下の3つに区分されます。

確認埋蔵量（確定埋蔵量）: 最も回収確実性の高い埋蔵量
推定埋蔵量: ある程度の回収可能性がある埋蔵量
* 予想埋蔵量: 回収可能性が低い埋蔵量

確認埋蔵量と推定埋蔵量の合計を2P、予想埋蔵量まで含めたものを3Pと呼ぶこともあります。確認埋蔵量を年間の生産量で割ったものが可採年数（R/P比）です。

可採年数の問題点とピーク指標

可採年数は、「いつまで資源が持つか」を知る上で役立つ指標とは言えません。なぜなら、資源価格の上昇や消費量の変化によって、可採年数は変動するからです。

例えば、石油価格が上がると、採算が合わずに無視されていた埋蔵量が増え、可採年数は延びます。逆に、石油消費量が増加すると、生産量が増え、可採年数は短くなります。

このような可採年数の問題点を改善するために、M.K.ハバートが考案したのが「ピーク指標」です。過去の油田の生産量推移を見ると、生産量は山なりのカーブを描き、ベース埋蔵量の半分を採掘した頃にピークを迎えます。その後は、枯渇によって生産量は減少していきます。

中国やインドの需要増加によって、資源需要は増加傾向にありますが、石油生産量はピークを過ぎると減少していきます。そのため、需給のミスマッチが起こり、資源価格が高騰する可能性があります。ピーク指標は、このような状況を予測する上で役立ちます。

一部の調査・研究では、世界の石油ピークは1996〜2030年、中国の国内石炭生産のピークは2030年、世界の石油・石炭・天然ガス合算のピークは2029〜2040年と予測されています。

また、多くの金属資源の累積採掘量が、2050年にはベース埋蔵量を超える見込みです。

まとめ

可採埋蔵量は、資源の埋蔵量を示す指標の一つですが、経済状況や技術革新によって変動するため、資源の枯渇年数を予測する上で注意が必要です。ピーク理論などの代替指標も参考にしながら、資源の持続可能性について考える必要があります。

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