台湾出兵

台湾出兵（1874年）

台湾出兵とは、1874年に発生した、日本が行った清国領台湾への軍隊派遣のことです。この出来事は、宮古島で漂流した日本人が台湾原住民に殺害された事件を受けて行われました。日本は清国に対し責任を求めましたが、清国はそれに応じず、結果的に軍事行動に踏み切ることになるのです。この一連の動きは「征台の役」または「台湾事件」として知られ、その背景には複雑な国際関係がありました。

事件の発端

発端は、1871年10月に宮古島から首里へ向かう琉球御用船が台風に遭い、台湾南部に漂着したことに始まります。その後66名の乗員が先住民によって拉致され、54名が殺害されました。生還した12名は漢人移民らによって救助され、福州を経由して日本に帰還しました。日本政府はこの事件に対して清国に賠償を要求しましたが、清国は本件を自己の管轄外の問題であるとして拒否しました。

1873年、政府内で台湾への出兵を求める声が高まり、日本政府は台湾出兵の準備を始めました。特に、外務卿の副島種臣はアメリカの意見を取り入れ、出兵を推進する動きがありました。

出兵の決定

最終的に明治政府は、国内の問題から目を逸らすために台湾出兵を決定します。1874年4月、軍の準備が整い、約3000人の軍隊が出発しました。政府内部には反対意見も見られましたが、特に西郷従道が独断で出兵を強行しました。この出兵は、日本が開国以降初めての本格的な海外派兵となり、その背景には国際的な認知を得るための戦略があったと考えられます。

戦闘の経過

台湾に到着した日本軍は、先住民との小競り合いを経て、次第に勢力を拡大していきました。5月6日に上陸した後、以降数か月に渡る戦闘が続きました。特に厳しい環境下での戦闘は日本兵たちに大きな影響を与え、実際に戦死した者は少数でしたが、マラリアなどの感染症により多くの兵士が苦しむことになりました。日本軍の約561名が病死し、その過酷な環境下での戦闘は日本の医療制度の未熟さを浮き彫りにしました。

和平への動き

日本政府は清国に通達することなく出兵したため、清国では強い反発が起こりました。特に李鴻章は日本の行動に対して否定的でしたが、イギリス公使の仲介により交渉が進みました。最終的に1874年10月31日、日本と清国との間で「日清両国互換条款」が調印され、この条約により清国が日本軍の出兵を承認し、日本側は協議を通じて事態を収拾する形となりました。

この協定により、清国は日本に対し見舞金を支払い、琉球の日本への帰属も国際的に確認されました。

結果

事件の処理を通じて、琉球の日本領への帰属が確認され、明治政府は琉球に対する朝貢関係の廃止を命じましたが、琉球側は依然として清国との関係を求める動きも見せました。この事件は、明治政府の強い外交政策の一環であり、日本の自立した国家としての地位の確立に一定の影響を与えました。また、長期にわたる軍事行動が引き起こした様々な問題は、その後の日本の軍事戦略や国際関係に影響を与えることとなりました。

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