台湾推理作家協会賞

台湾推理作家協会賞

台湾推理作家協会賞は、台湾における推理小説の創作を奨励し、その読者層を広げることを目的として設立された文学賞です。台湾推理作家協会（旧台湾推理クラブ）が主催しています。

概要

この賞は、2002年に新人賞として始まりました。当初は「人狼城推理文学賞」という名称でしたが、第6回からは現在の「台湾推理作家協会賞」という名称に変更されています。

募集されるのは短編推理小説で、規定の字数は15,000字から30,000字です。授賞式は毎年春に開催される台湾推理作家協会の総会の中で行われ、大賞受賞者には賞金5万元（約15万円）とトロフィーが贈呈されます。

応募資格は、繁体字で書かれた作品であれば台湾以外の国や地域からの応募も可能です。過去には、大賞受賞者が台湾人でありながら、他の入選者が香港からの応募者であった例もあります。また、未発表作品であれば、同一作者が複数の作品を応募することも認められています。実際に、第7回では同一作者の作品が大賞と入選を同時に獲得するという事例もありました。

第4回以降、最終候補作品はすべて、大賞発表前にアンソロジーとして刊行されています。

受賞作品

各回の受賞作品は以下の通りです。

第1回（2003年）：大賞は該当作品なし。佳作には林斯諺「霧影莊殺人事件」、呂仁「正命」が選出。その他、冷言「空屋」、陳嘉振「染血的街景」、謝侑倫「奪命連發槍」が投稿。
第2回（2004年）：林斯諺「羽球場的亡靈」が大賞を受賞。その他、哲儀「勿忘我」、林依俐「1＋1－1×44」、李柏青「換帖」、冷言「風吹來的屍體」が投稿。
第3回（2005年）：哲儀「血紅色的情書」が大賞を受賞。入選には秀霖（陳彥霖）「淒月」、張博鈞「蒼茫的幻月之下，倆人……」、白李「行過死蔭幽谷」、方志峰「課桌椅間的屍體」、無牙「假如」が選出。
第4回（2006年）：張博鈞「火之闇之謎之闇之火」が大賞を受賞。入選には秀霖（陳彥霖）「鬼鈴魂」、寵物先生「名為殺意的觀察報告」が選出。
第5回（2007年）：寵物先生「犯罪紅線」が大賞を受賞。入選には文善「瑪門」、秀霖「第九種結局」が選出。
第6回（2008年）：知言「Absinthe」が大賞を受賞。入選には林佑叡「房家莊」、文善「多馬」、陳浩基「傑克魔豆殺人事件」が選出。
第7回（2009年）：陳浩基「藍鬍子的密室」が大賞を受賞。入選には陳浩基「窺伺藍色的藍」、高普「西巴斯貝之戀」が選出。
第8回（2010年）：風神「少女的祈禱」が大賞を受賞。入選には文善「畢業生大逃殺」、東默農「刑」、何敬堯「盡頭之濱」、高普「索菲亞．血色謎團」が選出。
第9回（2011年）：大賞は該当作品なし。入選には言雨「玻小姐的第一次」、萊曼．格林「燃點」、余峰「北一女制服的祕密」、霍筆砍「三狂人殺人事件」が選出。
第10回（2012年）：天地無限「舉手之勞的正義」が大賞を受賞。入選には天棠「死亡遊戲」、董籬「推理有時得在午餐前」、四維宗「她的左眼所沒看見的謀殺」が選出。
第11回（2013年）：四維宗「倒帶謀殺以及連環殺人魔的困擾」が大賞を受賞。入選には吳柏翰「惡意火」、燼霖「三分之一的殺人」、余峰「末日的笑靨」が選出。
第12回（2014年）：餅乾怪獸「平安夜的賓館總是客滿」が大賞を受賞。入選には呂仁「ETC殺人事件」、唐墨「山婆假燒金」、霞月「推理遊戲」、張乃玓「意外計畫」が選出。
第13回（2015年）：王少杰「聽海的聲音」が大賞を受賞。入選には張乃玓「寂寞球體」、呂仁「重返竊案現場」、霞月「夏燕芙蓉」、阿七「獅山大兄與749」が選出。
第14回（2016年）：舟動「進化的引信」が大賞を受賞。入選には霞月「踏雪無痕」、弋蘭「法律與淑女」、沙棠「天蠍之鉤」、克拉珊「廢墟惡靈」が選出。
第15回（2017年）：柳豫「華麗的拋物線」が大賞を受賞。入選には張乃玓「見詭旅社」、林詩七「起死回生的塞班之戀」、宋杰「赫爾辛基眼淚」が選出。
第16回（2018年）：宋杰「致命偶像」が大賞を受賞。入選には克拉珊「牆破證」、王稼駿「亞斯伯格的雙魚」、冒業「古典力學的象徵謀殺」、厭世學者「廣告超人」が選出。
第17回（2019年）：王元「海洋裡的密室」が大賞を受賞。入選には八千子「少女監禁六十天」、余索「山間別墅」、重慶月經詩人「白居寺站」、吳非「和騎士度過的那一夜」が選出。
第18回（2020年）：會拍動「初心村的偵探事務所」が大賞を受賞。入選には牛小流「偵探在菜市場裡迷了路」、冷水砼「冬日將盡」、冒業「所羅門的決斷」、鍾岳「似曾相識」が選出。
第19回（2021年）：冒業「千年後的安魂曲」が大賞を受賞。入選には王稼駿「願望列車」、何其美「鐵皮屋裡的螢火蟲」、懶神「請收看謀殺直播」が選出。

刊行リスト

第1回から第3回までは作家ごとに作品がまとめられて出版され、第4回以降は入選以上の作品が各回ごとにまとめられて出版されています（第6回は2分冊）。

出版元は、第7回までは明日工作室の文庫版サイズのレーベル「明日便利書　推理館」から、第8回、第9回は台湾推理作家協会の自費出版、第10回以降は要有光（秀威資訊）から出版されています。

『霧影莊殺人事件』林斯諺（2006年）
『風吹來的屍體』冷言（2006年）
『血紅色的情書』哲儀（2006年）
第4回 - 『魅影殺機』（2006年）
第5回 - 『誘殺』（2007年）
第6回 - 『謎霧殺機』、『魔鬼交易』（2008年）
第7回 - 『神的微笑』（2009年）
第8回 - 『第八屆徵文獎作品集』（2010年）
第9回 - 『第九屆徵文獎作品集』（2011年）
第10回 - 『死亡遊戲』（2012年）
第11回 - 『倒帶謀殺』（2013年）
第12回 - 『平安夜的賓館總是客滿』（2014年）
第13回 - 『寂寞球體』（2015年）

その他

第6回入選作品「傑克魔豆殺人事件」（陳浩基）を巡っては、最終選考時に翻訳作品ではないかという疑義が生じましたが、作者本人の説明により疑いは晴れています。

脚注

台湾推理作家協会
明日便利書
秀威資訊

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