右兵衛督

右兵衛督（うひょうえのかみ）

右兵衛督は、平安時代から鎌倉時代にかけて存在した官職であり、兵衛府の長官の一人を指します。兵衛府は、天皇や皇族の警護、宮中の警備、儀仗などを担当する機関であり、右兵衛督はその組織を統括する重要な役割を担っていました。

官職としての右兵衛督

兵衛府には、右兵衛督と左兵衛督の二人の長官が置かれていました。右兵衛督は、右兵衛府を統括し、配下の兵士を指揮して警護や警備を行います。また、朝廷の儀式や行事においては、儀仗兵を率いて参加するなど、重要な役割を果たしました。

右兵衛督に任じられるのは、多くの場合、武官であり、武勇に優れ、朝廷からの信任が厚い人物が選ばれました。また、右兵衛督の地位は、昇進の足がかりとなることも多く、将来を嘱望される官僚にとっても重要なポストでした。

女房名としての右兵衛督

右兵衛督は、官職名であると同時に、女房名としても用いられました。女房名とは、宮中に仕える女性たちが、便宜上、自らを特定するために用いた名前であり、多くの場合、官職名や地名、あるいは縁のある言葉などが用いられました。

特に有名なのは、鳥羽天皇の中宮・藤原璋子（待賢門院）に仕えた女房で、女流歌人でもあった「上西門院兵衛」です。彼女は、歌人としての才能を発揮し、多くの歌を後世に残しました。彼女の歌は、繊細な感情や風景描写に優れており、当時の宮廷文化を偲ぶ上で貴重な資料となっています。

まとめ

右兵衛督は、官職としては兵衛府の長官として宮中の警護を担い、女房名としては上西門院兵衛のような才能ある女性が用い、その名が歴史に刻まれました。右兵衛督という言葉は、平安時代の宮廷社会を理解する上で、重要なキーワードの一つと言えるでしょう。

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