右近権左衛門 (10代目)

10代目右近 権左衛門の生涯と業績

10代目右近権左衛門（うこん ごんざえもん）は、1853年10月19日に生まれ、1916年2月9日に亡くなった実業家です。彼は、日本海上保険会社、朝鮮電気、大阪火災海上運送保険などの企業を経営し、商業界において大きな影響を残しました。その生い立ちや業績を振り返ると、彼がいかにして日本の実業界で名声を築いていったのかが見えてきます。

経歴

権左衛門は越前国南条郡河野浦（現在の福井県南越前町河野）で生まれました。彼は右近廣隆の長男として、家業の回漕業を手伝っていました。幼少期から自身の役割を果たすだけでなく、船に乗って航海の実地を学び、地元の荷主と直接交渉することで、業界の発展に専念していました。1882年、ついに家督を相続し、経営者としての第一歩を踏み出しました。

彼は父を見習って北前船の経営に積極的に関わり、回漕業にとどまらず貿易にも手を広げていきました。権左衛門が所有した船は、従来の弁財船に加え、当時最新の大型蒸気船も含まれ、その数は多岐にわたります。また、北陸親議会や日本海運業同盟会、日本海上保険会社の設立に寄与し、その実業界における存在感を確立しました。

人物像

権左衛門は、幼少期から非常に意志が強く、周囲は彼を手に負えないと感じることもあったようです。また、彼は酒豪としても知られていましたが、それにもかかわらず、地方の人々からの信望は厚く、彼に評価されていました。彼の住所は福井県南条郡河野村とされており、後には大阪市にも住んでいました。

家族と親族

権左衛門の家族は、江戸時代前期にさかのぼる古い歴史を持っています。彼の父、廣隆は回漕業の素封家として知られ、母のりんもその家計を支えました。弟の巳之吉は分家し、自らの家業を持ちました。権左衛門には二人の息子、福次郎と十一代目権左衛門（義太郎）がいました。福次郎も実業家として独立し、十一代目はその後の家業を継いでいきました。

権左衛門の妻は二人おり、一人は福井出身のはやで、もう一人は養子として迎えた和作です。これらの子孫は、地元の商業界で引き続き多大な影響を及ぼし続けました。

参考文献と関連項目

権左衛門についての詳細な情報は、いくつかの参考文献に記載されています。妹尾久造が編纂した『大日本紳士鑑』（1895年）や、人事興信所の発行する『人事興信録 第4版』（1915年）などが代表的です。また、権左衛門に関連した歴史的な施設として、北前船主の館や福井丸があります。権左衛門の業績は、単に一人の実業家としての枠を超え、地域社会や産業に大きな飛躍をもたらしました。

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