各務原市役所前駅

名古屋鉄道（名鉄）が運行する各務原線の各務原市役所前駅は、岐阜県各務原市那加桜町二丁目に位置する駅です。駅にはKG08の駅番号が付与されています。この駅は、各務原市の行政の中心である市役所から北へおよそ200メートルの距離にあり、その利便性の高い立地から、JTB時刻表などでは各務原市の代表駅の一つとして位置づけられています。

歴史

各務原市役所前駅の歴史は、1926年（大正15年）1月21日に各務原鉄道の一聯隊前駅として開業したことに始まります。その後、1935年（昭和10年）に各務原鉄道が名岐鉄道、続いて名古屋鉄道と合併したことにより、名鉄の駅となりました。駅名はその長い歴史の中で何度か変更されており、1938年（昭和13年）には各務原運動場前駅、1949年（昭和24年）には運動場前駅、1960年（昭和35年）には各務原飛行場駅と改称されました。1965年（昭和40年）には「各務原飛行場」の読み方が変更されています。

現在の各務原市役所前駅という名称が使われるようになったのは、2005年（平成17年）1月29日のことです。この駅名変更は、各務原市からの強い要請によって実現しました。それまでの「各務原飛行場駅」という名称では、利用者が市役所の最寄り駅であると認識しにくく、名鉄の名電各務原駅やJR高山本線の各務ケ原駅と混同されるケースが少なくなかったためです。市民からの要望を受け、市が名鉄に改称を求めた結果、名鉄が空港線開業に合わせて実施予定だった複数の駅名変更に合わせて当駅も改称されることになりましたが、この駅名変更にかかる費用は全額各務原市が負担することになりました。報道では当初「各務原市役所駅」への変更が伝えられましたが、最終的に「各務原市役所前駅」という名称に決定しています。

駅周辺地域は、各務原市の「都心ルネサンス計画」（市中心部再生計画）に基づき、段階的に整備が進められました。2007年（平成19年）3月28日には南側の駅舎が新築され、駅周辺の環境も合わせて整備されました。続いて、2008年（平成20年）12月5日には北側の駅舎も完成し、これにより構内を横断していた踏切が撤去され、利用者の安全性が高まりました。この間には、2007年 3月6日に駅集中管理システムが導入されて駅が無人化されたほか、共通SFカードシステム「トランパス」の導入（後にサービス終了）、2011年2月11日からのICカード乗車券「manaca」の利用開始など、利便性向上に向けたシステムの導入も進められています。特に南側の駅舎は、周辺のまちづくり景観との調和が評価され、2007年 11月10日に各務原市都市景観賞を受賞しています。

駅構造

各務原市役所前駅は、地上に設けられた2面2線の相対式ホームを持つ駅で、6両編成の列車まで対応しています。駅集中管理システムが導入されているため、駅員が常駐しない無人駅となっており、管理業務は名鉄岐阜駅が行っています。改札口は上下線ホームそれぞれに1箇所ずつ、犬山方面寄りの端部に設置されています。各改札口付近には、自動券売機と自動精算機が1台ずつ備えられており、ICカードへのチャージや定期券の購入も可能です（クレジットカードでの定期券購入には時間帯の制限があります）。なお、改札内で上下ホーム間を行き来するための通路は設けられていません。

駅舎は、地域の景観に配慮したデザインが特徴です。特に南側駅舎は、建物の下部がレンガ風、上部が白い壁で構成され、濃い茶色の柱や縁取りが全体を引き締めています。南側駅舎の中央上部には三角屋根と丸い時計があり、周辺の緑豊かな環境によく映える建物として、市の都市景観賞を受賞しています。北側駅舎の新設時には、両ホームの嵩上げも同時に行われ、利用しやすさが向上しました。駅構内には各ホームに自動販売機が1台ずつ設置されています。また、バリアフリー対策として、南側駅舎の改札口を出て左側に多目的トイレが設置されています。

利用状況

各務原市役所前駅の利用状況を見ると、各務原市の中心部に位置する駅として一定数の利用者があることがわかります。『名古屋鉄道百年史』によれば、1992年度の1日平均乗降人員は約4,256人で、当時の名鉄全342駅中110位でした。『名鉄120年：近20年のあゆみ』に記載されている2013年度の1日平均乗降人員は約3,865人であり、これは名鉄全275駅中111位、各務原線18駅中では4位にあたります。これらのデータや『岐阜県統計書』などの統計書による年間利用者の推移は、周辺の公共施設や住宅地からの利用が多いことを示唆しています。

駅周辺

駅の周囲には、駅名の由来となっている各務原市役所をはじめ、各務原市産業文化センター、各務原市消防本部など、市の主要な公共機関が集まっています。また、市民の憩いの場である学びの森や、近年整備されたKAKAMIGAHARA PARK BRIDGEといった施設も近接しており、市の中心エリアとしての機能が高まっています。その他、各務原桜町郵便局やピアゴ各務原店といった生活関連施設も利用可能です。歴史的な施設としては、川崎航空機によって創建された薬師寺や、各務原市立各務原特別支援学校も周辺に位置します。少し離れた場所には、航空自衛隊岐阜基地や岐阜かかみがはら航空宇宙博物館があります。かつて駅名の由来の一つであった各務原運動場は、現在この場所には存在していません。

バス路線

駅前からは、複数のバス路線が運行されており、周辺地域へのアクセスを補完しています。岐阜バスのイオンモール各務原行きが運行されているほか、各務原市が運営するコミュニティバス「ふれあいバス」の複数の路線（那加線、稲羽西線、蘇原線、川島線）が乗り入れており、市内の各方面や隣接地域への移動手段として利用されています。

隣の駅

名古屋鉄道各務原線における各務原市役所前駅の隣接駅は以下の通りです。

普通: 市民公園前駅 (KG09) と六軒駅 (KG07) の間に位置します。
急行・準急（航空自衛隊岐阜基地航空祭開催時の臨時停車）: 新那加駅 (KG10) と六軒駅 (KG07) の間に位置します。

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