合衆国の対外関係

合衆国の対外関係 (FRUS) について

『合衆国の対外関係』、略してFRUSは、アメリカ合衆国国務省の広報局修史部が発行している著名な書籍シリーズです。このシリーズは、エイブラハム・リンカーン大統領が在任していた時代から始まり、現代に至るまで、アメリカの対外政策や外交活動の公式な記録を提供し続けています。主に、過去30年程度前の出来事に焦点を当てた文書が収録されており、特に重要な外交方針の決定プロセスや活動の史実が網羅されています。

シリーズの歴史

FRUSは、1870年から1947年にかけては『合衆国の対外関係関連文書集』という名称で発表され、その後1947年から1969年までは『合衆国の外交関係：外交文書集』という名称に変更されました。現在のタイトル、すなわち『合衆国の対外関係』が採用されたのは1969年以降のことです。このシリーズは、外交的な記録のただの集英ではなく、各時代の政策決定過程や国際関係の変遷を反映した重要な資料となっています。

当シリーズの刊行は長い歴史をもち、その結果として多数の補遺や付録、またそれらに関するマイクロフィッシュも存在します。特に、1861年から1899年、1900年から1918年までの時期に関しては目録が公表されています。このように、FRUSは単なるシリーズではなく、アメリカの対外政策の研究における基礎的な資料となっています。

引用と分類

FRUSに収められている文書は、通常、参照される際に「FRUS」と略記され、各巻はローマ数字で表されています。文書は年と地域別に分類され、たとえば「1936, Volume II, Europe（1936年、第II巻、ヨーロッパ）」のように示されます。この体系的な分類法により、ユーザーは特定の時期や地域に関連する外交史を容易に調査することができます。

批判と評価

本シリーズは、その重要性ゆえに批判の的になることもあります。特に、歴史家のN・リチャード・キンズマンは、FRUSにおけるCIAの名称の明示的な引用が持つ危険性に言及しました。彼は、CIAの海外活動に関する情報がFRUSに記載されることで、CIAの存在を自白する形になりかねないと警鐘を鳴らしました。しかし、この批判に対してウォーレン・F・キンブルは、文書が公開される際の徹底的な調査と、30年以上の時が経過した後に公開されることに特に危険はないとして反論しています。

このように、FRUSはそのコンテンツの性質上、多くの議論を引き起こしているものの、アメリカ外交の歴史を理解する上で欠かせない貴重な資料であることに変わりはありません。完成された文書群は、研究者や教育者にとっても重要な参考資料として位置づけられています。時代を反映した外交政策の決定過程を知るために、今後もFRUSは広く利用され続けることでしょう。

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