吉本政美

吉本政美の剣道指導とその足跡

吉本政美（よしもと まさみ）は、1948年に宮崎県の高千穂町で生まれた剣道家で、教士八段としての地位を持つ教育者です。高校剣道界において彼は特に名監督として名を馳せ、数々の栄光を高校剣道部にもたらしました。

初期の経歴

彼は宮崎県立高千穂高等学校から中京大学へ進学し、1971年に卒業後、母校である高千穂高校に赴任しました。この時、剣道部は県内でも成績がふるわず、課題が山積みでしたが、吉本氏の監督としてのキャリアがここから始まります。

剣道部の躍進

吉本監督が就任してからの数年で、高千穂高校剣道部は顕著な成績を残すようになりました。特に1974年には、男女ともに県内大会で優勝を果たし、その後もインターハイや玉竜旗といった全国大会での好成績を収めました。1978年には男子が三位、女子はベスト8に進出し、同年の玉竜旗では男子が二位、女子が三位となりました。

1979年には女子剣道部が念願の初優勝を達成し、1986年には男女ともにインターハイ制覇を達成しました。また、1987年、1988年、1991年といった年にも玉竜旗で男子部が連続優勝を果たすなど、全国大会での活躍は留まるところを知りませんでした。

指導方針と教育理念

吉本氏は、剣道部の技術向上ばかりではなく、生徒全体の人間形成にも力を注ぎました。「人間づくりは流れ作業的にはできない。手作りでなければならない」という彼の言葉が示すように、学校だけでは足りないと、部員を自宅に住まわせて密な関係を築きました。このような個別指導のスタイルは、生徒たちに対する大きな愛情と真摯な態度の現れであり、チームの結束力を高める大きな要因となったのです。

当時、高千穂高校剣道部は専用バスを導入し、県外遠征にも積極的に参加しました。これは、瞬発的な成績向上だけでなく、生徒たちの経験の幅を広げ、剣道だけでなく生活の中での多くの学びをもたらしました。

晩年と影響

1995年には高千穂高校を離れ、宮崎県体育協会へと転任しました。1996年には八段に昇進し、指導者としての評価を確立しましたが、1999年に膵臓癌により急逝しました。彼の剣道教育に対する情熱は、生徒たちや後進の指導者たちに引き継がれています。

吉本政美の姿勢と指導方針は、高校剣道界においての模範であり、今もなお多くの剣道家や指導者に影響を与え続けています。彼の人生と業績は、剣道だけでなく、多くの人々にとっての大きなインスピレーションとなるでしょう。

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