吉本興業レコード会社乗っ取り事件

吉本興業レコード会社乗っ取り事件

吉本興業レコード会社乗っ取り事件は、1960年代初頭に発生した一連の事件で、吉本興業が山口組と結託し、レコード業界において恐喝を行った事例です。事件の背景には、当時の吉本興業社長の意向と、山口組の力が絡んでいました。

事件の背景

この事件の根底には、田岡一雄が山口組の組長であった時期に、吉本興業と山口組との間に築かれた深い関係があります。田岡の妻は吉本興業の株を大量に保有しており、これが事件における関与をより強固にしました。

当時の文化やエンターテインメント業界は、レコード会社の存在が不可欠でした。吉本興業の社長は、銀座の芸能プロダクションの社長と協力し、山口組の影響力を利用してレコード会社の乗っ取りを目論みました。この過程で、彼らは山口組の組員を動員し、暴力をちらつかせることで脅迫を行っていたと言われています。

レコード会社との関係

1971年に設立されたマーキュリーレコードは、日本ビクターの下請けとして機能していました。この会社の社長に対して、吉本興業の社長は実質的な操り人形となり、販売や製造の成否は山口組の力に依存すると説きました。実際、山口組の存在がおおいに利用され、会社は次第に吉本興業の支配下に置かれていきました。

吉本興業は、マーキュリーレコードの社長から毎月家賃として7万円を徴収し、さらには食品会社の株なども脅し取ったとされています。このような行為は、単なる経済的利益を追求するものではなく、暴力団の影響力を背景にした、恐喝という名の犯罪でした。

逮捕とその後

結局、1968年の初め、吉本興業の社長と芸能プロダクション社長は、恐喝の罪で逮捕されることとなります。驚くべきことに、逮捕される際、吉本興業の社長は部下に対して暴力団との関わりを避けるように指示していたといいます。これは、彼自身がレコード会社を乗っ取るために山口組を利用していたにもかかわらず、表向きにはそうした姿勢を見せていたという矛盾した状況を反映しています。

田岡一雄が亡くなった際の葬儀には、事件に関与して逮捕された吉本興業の社長の弟も参列しており、これが兄弟の複雑な関係や、当時の社会的背景を物語っています。

事件の影響

この事件は、吉本興業と山口組との長年にわたる関係を暴露したうえ、エンターテインメント業界における暴力団の影響を再認識させるものとなりました。それ以降、業界全体が暴力団との関係を見直す契機となり、このような事件が再発しないようにするための取り組みが進められることとなります。

まとめ

吉本興業レコード会社乗っ取り事件は、吉本興業のブランドやその後の発展に大きな影響を与えただけでなく、日本のエンターテインメント界における暴力団との関与を問い直す重要な事件でした。この事件を通じて、今後の業界の動きがどのように変わっていくのか、注目されるところです。

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