吉村平造

吉村平造（よしむら へいぞう）は、明治2年（1869年）に生まれ、昭和10年（1935年）7月23日に没した、日本の政治家であり、ジャーナリストです。号は胆南（たんなん）と称しました。

生い立ちと経歴

吉村平造は、近江国坂田郡柏原村（現在の滋賀県米原市）で生まれました。生家は中山道で代々脇本陣を営み、地域の名家でした。明治法律学校（現在の明治大学）を卒業後、ジャーナリストとしての道を歩み始めます。

大阪朝日新聞社に入社し、政治記者として活躍。義和団事件や日露戦争の際には、従軍記者として戦地へ赴き、その状況を報道しました。新聞記者としての活動を通じて、社会情勢に対する深い洞察力と問題意識を培いました。

その後、保険会社の重役などを経て、政界へ転身。1906年5月から1909年9月まで大阪市助役を務め、都市行政に携わりました。さらに、1915年1月22日から1916年12月25日には、第11代広島市長として市政を担いました。市長在任中は、都市の発展と市民生活の向上に尽力しました。

市長退任後は、実業界へ戻り、久原本店（現在の久原鉱業）に勤務。その後、北日本鉱業の専務として、鉱業事業に携わりました。

家族

吉村平造の息子には、フランス文学者の吉村正一郎や映画監督の吉村公三郎がおり、文化人を輩出した家系としても知られています。

著書

吉村平造は、著書として『大阪築港の過去及現在』（1909年）を著しました。この書籍は、大阪築港の歴史と現状について詳細に記述したもので、当時の大阪の発展を研究する上で貴重な資料となっています。

まとめ

吉村平造は、ジャーナリスト、政治家、実業家として多岐にわたる分野で活躍し、日本の近代化に貢献しました。激動の時代を生き抜き、社会の発展に尽力したその生涯は、後世に語り継がれています。

参考文献

『滋賀県人物名鑑 下巻』滋賀日出新聞社、1931年。
『日本の歴代市長 第3巻』歴代知事編纂会、1984年。

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