吉田保 (レコーディングエンジニア)

吉田保に関する詳細



概要


吉田保（よしだ たもつ、1946年11月6日 - ）は、埼玉県さいたま市出身の日本のレコーディングおよびミキシングエンジニアです。彼は音楽業界において非常に影響力のある人物で、実妹にはシンガーソングライターの吉田美奈子、義弟には音楽プロデューサーの生田朗がいます。

経歴


1968年、吉田は東芝音楽工業の録音部に入社しました。彼は1976年にRVC（当時）に移り、1979年にはCBS・ソニー六本木スタジオでチーフ・エンジニアに就任しました。また、1989年にはサウンド・マジック・コーポレーションを設立し、2007年にはミキサーズ・ラボにマネジメント業務を委託しました。特に2014年からリリースされた「吉田保リマスタリング・シリーズ」は、彼が手掛けた作品を中心にリマスタリングされたもので、多くのファンに支持されています。

音作りの特徴


吉田のミックスダウンの技術にはいくつかの特徴があります。まず、彼は「古典的な三点定位」を駆使し、音源の位置を中央または左右に配置する手法を重視しています。これにより、リズムの明確さを保ちながら、各楽器の音域をバランスよく配置しています。例えば、ドラムスにおいては、バスドラムやスネアドラムを中央に置き、シンバル類は左右に振るなどの技法を用いています。

さらに、彼の作品に招かれるリバーブの使用法も特徴的です。吉田は音に深みを加えるために、各音源に対してとても深いリバーブを施しています。この手法は、一般的にはリズムが不明瞭になる可能性がありますが、吉田はアタックを制御し、持続的な残響を与えることで、濁りのないクリアな音場に仕上げています。彼が特に好んで使用していた器材には、プレートリバーブの「EMT 140」がありますが、1980年代以降はデジタルエコーのソニー製「DRE-2000A」や「DPS-R7」、現在ではSonnox社の「Oxford Reverb」が用いられています。

活動の幅


市川実和子や大滝詠一、山下達郎など、さまざまなアーティストのレコーディングやミキシングに携わってきた吉田ですが、その中でも特に大滝詠一と山下達郎との作品が名高いです。これらの作品に対する彼の関与は、音楽界での彼の評価を確立させました。

代表的な参加作品



リマスタリングシリーズ


2014年から始まった吉田のリマスタリングシリーズでは、当時の音源をアナログレコードの質感と臨場感を引き出しながらリマスタリングし直しています。彼は音圧を上げることだけを追求せず、楽器や声の持つピュアな特性を大切にしています。このシリーズは、リリースされたオリジナルの音楽作品と比較して音圧が小さく感じられるかもしれませんが、聴き比べてみると耳に優しく、それでいて力強い音を楽しむことができます。

最後に


吉田保は音楽の背後にある重要な仕事を数十年にわたって行ってきました。彼のエンジニアリング技術やリマスタリング手法は、今後も多くの音楽ファンに受け継がれていくことでしょう。音楽の本質を追求し続ける彼の姿勢は、業界の貴重な資産であり続けています。

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