吉田英男

吉田 英男（よしだ ひでお）

神奈川県三浦市の政治家。1956年（昭和31年）6月3日生まれ。三浦市長を5期務めた。父は元神奈川県議会議員の吉田實氏である。

経歴

三浦市に生まれ育ち、国際商科大学（現在の東京国際大学）商学部を卒業した。大学卒業後は金融機関である横浜銀行に入行し、支店長として葉山支店や神奈川県庁内の支店などで勤務した経験を持つ。

三浦市長として

長年の銀行勤務を経て、2005年6月に行われた三浦市長選挙に立候補。現職の候補者との一騎打ちとなった選挙戦を制し、初当選を果たした。当時の投票率は55.95%であった。

その後、2009年、2013年の市長選挙では、他に立候補者が現れず無投票での当選となり、再任を果たした。市長就任期間中の一時期には、地域の振興を担う三浦海業公社の社長を兼務し、水産業や観光業の発展にも関わった。

2017年の選挙では再び選挙戦となったが、4期目の当選を果たした。この選挙の投票率は38.90%で、過去と比較して低い水準となった。続く2021年の選挙でも無投票で当選し、5期目を迎えた。

主な政策と取り組み

市長として、多岐にわたる市政課題への対応を進めた。特に財政面では、2009年に「三浦市緊急緊縮財政宣言」、通称「脱・イエローカード」を公表し、厳しい財政状況からの脱却を目指した行財政改革を推進した。

また、地域経済活性化のための特区制度への対応においては、「三浦方式」と呼ばれる独自の手法が注目され、他の自治体、例えば近隣の横須賀市からも推奨されるなど、一定の評価を得た。

水産業が盛んな三浦市の市長として、環太平洋戦略的経済連携協定（TPP）交渉に対しては、国内水産業への影響を懸念する立場から、交渉参加に反対する要望書を政府に提出するなど、地元の産業保護を強く訴えた。

さらに、社会的な多様性の尊重という観点から、性的少数者のカップルを自治体として公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」の導入を表明。この制度は2021年1月1日から施行され、当事者の権利保障と社会的な認知向上に貢献した。

2025年の選挙と退任

5期20年にわたり三浦市政を率いてきたが、2025年の市長選挙では、6期目を目指して立候補したものの、新人候補に敗れた。この結果、20年ぶりに三浦市のトップが交代することとなった。

吉田氏は、銀行員としての経験と、父が県議会議員であった政治的な素地を背景に、約20年間にわたり三浦市の舵取りを担った。その任期中には、財政再建、産業振興、社会制度の導入など、多岐にわたる政策を実行した。

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