吉行あぐり

吉行あぐりの人生と業績

吉行あぐり（1907年7月10日生まれ〜2015年1月5日没）は、日本の美容師であり、その存在は日本の美容業界において非常に大きな影響を与えた人物です。本名は吉行安久利（よしゆき あぐり）で、旧姓は松本です。彼女は平和な時代から波乱に満ちた時代を経て、多くの人々の記憶に残る多才な女性として知られています。

幼少期と結婚

岡山県岡山市に生まれたあぐりは、岡山県立第一岡山高等女学校に在学中に、スペイン風邪の流行で父と姉を失うという悲劇を経験しました。このような過酷な状況にもかかわらず、彼女は強靭な精神力を持ち、1923年には15歳で作家の吉行エイスケと結婚しました。翌年、彼女は長男を出産しました。

彼女は美容業界の先駆者である山野千枝子のもとで2年間修行し、1929年には独立して「山の手美容院」を開業しました。この美容院は村山知義が設計したダダイスムの建築で、そのスタイルと美しさから多くの支持を受けました。

美容業界でのキャリア

1940年に初婚の夫エイスケを失った後、あぐりは1949年に辻復と再婚しました。彼女の美容院は1944年に閉店を余儀なくされましたが、1952年に「吉行あぐり美容室」として再スタートを切ります。移転後も彼女の美容室は多くの有名人に支持され、秩父宮親王妃勢津子の担当をするなど、彼女の技術とセンスは高く評価されました。

晩年と影響

90歳を過ぎても現役で美容師として活動していたあぐりは、1998年に都民文化栄誉章を受章しました。しかし、2005年に彼女は閉店を決意します。その後は晩年に脳梗塞や骨折の影響を受けながらも、知的好奇心は衰えず、新聞を購読しエッセイや俳句を執筆していました。享年107歳で、彼女は人生を全うし、今も多くの人々の心に生きています。

著作とメディア出演

あぐりは多くの著書を出版し、その中には自伝的な内容や家族に関するものが多く含まれています。特に『梅桃が実るとき』は、彼女の人生を振り返る貴重な作品として知られています。また、彼女は1997年のNHK連続テレビ小説『あぐり』のモデルとなり、その存在感をもって多くの人々に愛されました。

彼女の人生は、美容師としての技術やセンスだけでなく、数多くの人々とのつながりや影響力も体現しています。吉行あぐりは、日本の美容界の草分けとしての地位を確立し、後世に語り継がれるべき偉大な存在であったのです。

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