吉陽軍

吉陽軍は、中国の宋代に存在した軍事行政区画です。政和7年（1117年）に、それまで存在した朱崖軍に代わって設置されました。治所は寧遠県に置かれ、現在の海南省三亜市の西北に位置します。当時の行政区分では、広南西路に属していました。

吉陽軍の管轄領域は、現在の三亜市だけでなく、楽東リー族自治県や南シナ海の一部も含まれていました。南シナ海の島嶼もその範囲に含まれていたと考えられています。吉陽軍は、この地域における宋朝の統治を象徴する存在でした。

しかし、紹興年間になると、吉陽軍は瓊州の管轄下に編入されることになります。これにより、吉陽軍は独立した行政単位としての役割を終えることになりました。その後、明朝の洪武元年（1368年）には、崖州と改名されました。この改名によって、吉陽軍の名前は歴史の中に消えることになります。

現代においても、吉陽軍の名前は一部に残っています。例えば、南シナ海に存在する吉陽礁は、吉陽軍にちなんで命名されました。これは、かつてこの地域を統治した吉陽軍の存在を今に伝えるものです。

参考文献

班偉「南海諸島に関する中国史籍の記載について（上）」『山陽論叢』第22巻、山陽学園大学紀要編集委員会、2016年3月18日、71-86頁、doi:10.24598/sanyor.22.0_71。

関連項目

吉陽礁

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