同和ビルヂング

同和ビルヂングは、かつて大阪府大阪市北区西天満四丁目に存在した、歴史的建造物です。旧称は共同ビルヂング、共同火災ビルヂングとも呼ばれ、大阪共同ビルディング、同和火災ビルディングとも通称されました。

沿革

1906年（明治39年）6月7日に設立された共同火災海上保険株式会社は、当初東京に本店を構えていました。しかし、株主に大阪の関係者が多かったことから、1919年（大正8年）2月15日、本店を大阪市北区曽根崎上二丁目に移転しました。当初の社屋は木骨コンクリート構造の2階建てでしたが、手狭になったことや都市計画による敷地の一部買収のため、隣接地に4棟の仮社屋を建設し、1925年（大正14年）12月14日に本店を移転しました。

その後、創立30周年を記念し、永久構造の社屋建設を決定。1935年（昭和10年）2月1日に起工、同年7月1日に建物を保有する共同ビルヂング株式会社（後に同和ビルヂング株式会社に改称）を設立しました。工事は順調に進み、1936年（昭和11年）9月14日に竣工。建物は共同ビルヂングと名付けられ、当初は2階以下を貸室、3階以上を社屋として使用しました。

大阪大空襲では若干の被害を受けましたが、破壊は免れました。1944年（昭和19年）、共同火災海上保険は複数の保険会社と合併し、同和火災海上保険として発足。この際、本店は大阪市東区に移転し、建物は支店として使用され、1946年（昭和21年）に同和ビルヂングと改称されました。その後、1948年（昭和23年）に同和ビルヂング株式会社を吸収合併し、建物も同社が所有することになり、1949年（昭和24年）には再び本店となりました。

40年以上にわたって本店として利用されましたが、創立50周年を記念し、超高層建物への建て替えを決定。1990年（平成2年）11月26日に本店は大阪市中央区に移転し、その後、1991年（平成3年）に取り壊されました。跡地には、1995年（平成7年）にあいおいニッセイ同和損保フェニックスタワーが竣工しました。

建築概要

同和ビルヂングは、鉄骨鉄筋コンクリート構造の地下2階、塔屋2階付地上7階建てで、敷地面積1,611.87平方メートル、建築面積836.69平方メートル、延床面積7,483.26平方メートルという規模でした。近代式と呼ばれる様式で、屋上には10基、玄関上には2基の不死鳥像が設置されていました。設計は曽禰中條建築事務所、施工は竹中工務店が担当しました。

特徴

同和ビルヂングは、その重厚な外観と、屋上に設置された不死鳥の像が特徴的でした。これらの像は、同和火災海上保険の社章にも用いられていた不死鳥をモチーフにしたもので、建物のシンボルとなっていました。また、近代建築様式を採用したデザインは、当時の大阪の建築物を語る上で重要な存在でした。

同和ビルヂングは、その長い歴史の中で、保険会社の社屋としてだけでなく、地域のランドマークとしても親しまれていました。その取り壊しは、大阪の近代建築史において一つの区切りとなる出来事でした。

現在、同和ビルヂングがあった場所には、あいおいニッセイ同和損保フェニックスタワーが建っており、その名残を偲ぶことはできませんが、当時の写真や資料を通して、その歴史と建築の美しさを知ることができます。

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