名古屋ボストン美術館

名古屋ボストン美術館：その栄光と終焉

名古屋ボストン美術館は、かつて愛知県名古屋市中区金山に位置し、ボストン美術館の姉妹館として親しまれていました。しかし、2018年10月8日をもって閉館し、その短い歴史に幕を閉じました。本記事では、その設立から閉館までの経緯、数々の展覧会、そして閉館後の施設利用について詳しく解説します。

立地と概要

美術館は金山駅前の金山南ビルの2フロアを使用していました。開館当初から2004年5月21日までは、上のフロアを古代オリエント、古代ギリシア、古代ローマ美術の常設展「古代地中海世界の美術」に充てていましたが、その後は企画展用のスペース「オープンギャラリー」として活用されました。

沿革

名古屋ボストン美術館の設立は、1991年11月に名古屋商工会議所が「名古屋ボストン美術館設立準備委員会」を設置したことに始まります。その後、1995年8月には美術館を運営する名古屋国際芸術文化交流財団が設立され、同年12月にはボストン美術館との間で設立契約が締結されました。1999年に美術館が開館しましたが、2018年10月8日に閉館しました。

展覧会の歴史

名古屋ボストン美術館では、数多くの魅力的な展覧会が開催されました。以下に主な展覧会を挙げます。

第1回「モネ、ルノワールと印象派の風景」（1999年）
第2回「岡倉天心とボストン美術館」（1999年）
第7回「ボストン美術館の至宝―ピラミッドの時代」（2001年）
第8回「ミレー展」（2002年）
第10回「ボストンに愛された印象派」（2003年）
第16回「ボストン美術館の巨匠たち―愛しきひとびと」（2005年）
第30回「ゴーギャン展」（2009年）
第52回「華麗なるジャポニスム―印象派を魅了した日本の美」（2015年）
* 第62回「ボストン美術館最終展―ハピネス~明日の幸せを求めて~」（2018年）

これらの展覧会では、印象派の風景画から古代エジプト美術、日本の浮世絵まで、幅広いジャンルの作品が展示され、多くの来場者を魅了しました。

存続問題と閉館

名古屋ボストン美術館は、開館当初から慢性的な赤字に悩まされていました。その原因として、名古屋側に不利な契約内容や、開館後20年間でアメリカ側へ約5千万ドルを寄付する義務などが挙げられます。また、入場者数が当初の予測を下回り続けたことも、経営を圧迫しました。

2002年には研究部門の学芸部が廃止されるなど、運営状況は厳しさを増し、一時閉館も検討されました。その後、地元財界や愛知県、名古屋市などの支援を受け、契約内容の変更や寄付金の減額などが行われましたが、根本的な解決には至りませんでした。

2016年、名古屋国際芸術文化交流財団は、ボストン美術館との契約を2018年度末以降は更新しないことを決定し、2018年7月24日から10月8日にかけて最終展「ハピネス～明日の幸せを求めて」を開催し、閉館しました。

閉館後の施設利用

閉館後、名古屋市は金山南ビルの3-5フロアを取得し、運営する名古屋国際芸術文化交流財団に年1億円で貸し付けています。しかし、施設の特殊な構造や改修費の問題から、跡地としての活用は見通せていません。

2020年からは、名古屋市が金山南ビル美術館棟として短期利用を認め、2023年度まで1カ月単位で利用を募集しています。2021年にはバンクシー展や恐竜をテーマとする展覧会が開催されるなど、新たな活用が模索されています。

まとめ

名古屋ボストン美術館は、その短い歴史の中で数々の名作を展示し、多くの人々に感動を与えました。閉館は残念でしたが、その功績は忘れられることはありません。閉館後の施設利用についても、今後の展開が注目されます。

もう一度検索