名古屋十名所

名古屋十名所の選出とその背景

名古屋十名所（なごやじゅうめいしょ）は、1925年8月に新愛知新聞社（現在の中日新聞社）が主催する形で行われ、読者からの投票によって選ばれた名古屋市の代表的な名所10か所を指します。この催しは、大名古屋市としての新しい時代の到来を迎え、名古屋を象徴する名所を改めて見つめ直す狙いから実施されました。

投票の概要と目的

1925年6月13日から8月10日までの約2か月間にわたり、名古屋市の市民が積極的に参加して行われたこの投票は、名古屋市の観光地や文化遺産の認識を深めることを目指していました。新愛知新聞の8月11日号には、名古屋の名所選定の目的について次のように記されています。「名古屋の名所…。昔からの伝統のある場所も多く、この時期に名古屋市が成長を遂げる中、名所を選ぶことで市民の期待に応えたい」と。

このイベントは、名古屋市に住む七十万の市民が参加し、地域の誇りや文化的アイデンティティを再確認する機会となりました。

投票結果の発表

名古屋十名所の投票は、多くの市民から高い関心を集め、次のような結果となりました。以下がその順位と得票数です。

1. 天理教々務支庁: 150,859票
2. 正木町闇の森: 135,982票
3. 笠寺観世音: 134,497票
4. 圓頓寺: 124,297票
5. 久屋町金刀比羅神社: 103,562票
6. 熱田神宮: 72,122票
7. 呼続町桜田勝景: 72,010票
8. 押切町榎権現: 66,173票
9. 名古屋城: 60,554票
10. 山田町元大将之社: 59,029票

また、次点として呼続町清水稲荷（58,010票）、大曾根圓満寺（54,803票）、名古屋港（51,174票）も挙げられています。この結果は名古屋市の歴史や文化、また市民の思いが凝縮されたものであり、各名所が持つ魅力を再評価する契機となりました。

名古屋十名所の意義

名古屋十名所の選出は、単なる観光地のランキングにとどまらず、地域の文化を育てる重要なプロジェクトでした。また、名古屋市民が自身の街を誇りに思うための基盤を築く意味合いも持ちました。このような取り組みにより、名古屋の名所を訪れる観光客にとっても、地域の価値を知る手助けとなることが期待されています。

当時から今日にかけて、名古屋市は多くの観光名所を有し、全国的にその名を知られる存在となりました。名古屋十名所は、そのスタート地点となった出来事として、今なお市民に愛され、語り継がれています。名古屋のさらなる発展とその名所への関心が高まることを願っています。

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