名古屋圏運行管理システム

名古屋圏運行管理システム(NOA)の概要

JR東海は、在来線の運行管理を高度化するため、名古屋圏と静岡圏に「名古屋圏運行管理システム」を導入しています。このシステムは、日立製作所が開発したもので、通称NOA (New Operational Automation System)と呼ばれています。NOAは、単一のシステムではなく、名古屋地区用と静岡地区用の2種類のシステムで構成されており、それぞれ独立して運用されています。案内放送の内容も地区によって異なりますが、システムの構成自体は同一です。

NOAのシステム構成

NOAは、以下の5つの主要な装置から構成されています。

1. 情報処理装置 (EDP): 列車の運転時刻、停車駅、着発線、工事計画などの情報を基に、列車の運行計画を作成し、ダイヤを作成する中核となる装置です。運行上のあらゆる情報を集約し、処理します。
2. 自動進路制御装置 (PRC): EDPが作成した運行計画と、列車のリアルタイムの位置情報に基づいて、各駅の進路（ポイントと信号）を自動的に制御する装置です。列車の安全な運行を確保するために、綿密な計算と制御を行います。CTC(列車集中制御装置)と連携して機能します。
3. 列車集中制御装置 (CTC): 列車の位置、速度、運行状況などをリアルタイムで監視する装置です。指令員はCTCの表示盤やモニタ画面を通して、運行状況を把握し、異常発生時には警報によって知らされます。また、必要に応じて手動で信号やポイントを操作し、運行を制御できます。
4. 列車運転状況表示装置 (TID): 列車の運行状況を指令所、乗務員区所、駅などに表示する装置です。運行状況を一元的に把握し、関係者間での情報共有をスムーズに行うために重要な役割を担っています。
5. 自動放送装置: PRCから送られた列車情報に基づいて、各駅のホームで列車の種別、愛称名、行先、車両数、停車駅などを自動的に放送する装置です。乗客への情報提供を迅速かつ正確に行うことで、利便性の向上に貢献しています。

さらに、これらの装置を統合的に管理し、ダイヤ改正計画から列車ダイヤ、乗務員・車両運用などの情報を一元的に管理する「在来線輸送計画ネットワーク」がNOAを支える基盤となっています。このネットワークは、計画段階から現場の実運用までをシームレスに繋ぎ、効率的な運行管理を可能にしています。

NOAの導入区間

NOAは、名古屋地区と静岡地区の主要な在来線に導入されています。

名古屋地区:
東海道本線 (二川駅～醒ヶ井駅)
中央本線 (名古屋駅～中津川駅)
関西本線 (名古屋駅～亀山駅、八田駅～亀山駅)
武豊線 (大府駅～武豊駅)

静岡地区:
* 東海道本線 (函南駅～新所原駅)

2019年には、旅客向け案内装置が先行導入された区間もあります。

NOAと他の運行管理システム

NOAはJR東海の運行管理システムとして、安全で効率的な運行に貢献しています。JR東日本が導入するATOS(東京圏輸送管理システム)や、JR西日本の運行管理システムなど、他の運行管理システムと同様、高度な技術を用いて、鉄道運行の高度化を図っています。しかし、それぞれのシステムは、地域特性や路線状況に合わせて最適化されており、システム構成や機能に違いが見られます。

まとめ

NOAは、JR東海の在来線運行を支える重要なシステムです。その高度な機能と、複数の装置による連携によって、安全で効率的な列車運行を実現しています。今後も、更なる高度化と、他の運行管理システムとの連携強化が期待されます。

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