名古屋市交通局日進工場

日進工場（にっしんこうじょう）

日進工場は、愛知県日進市浅田町に位置する名古屋市交通局の重要な鉄道施設です。具体的には、名古屋市営地下鉄の車両をメンテナンスするための工場機能を持ち、同時に車両基地としても機能しています。

この工場施設は、赤池駅の東側に広大な敷地を占めています。その敷地面積は約132,000平方メートルにも及び、これは名古屋市営地下鉄が保有する車両基地の中で最大級の規模です。最大で8両編成40本に相当する、およそ320両もの車両を収容する能力を備えています。敷地内には、かつて活躍した市電や地下鉄車両などを展示する「レトロでんしゃ館」も併設されており、鉄道ファンや地域住民に親しまれています。工場の内部も見学が可能ですが、事前に予約が必要です。

当工場では、主に名古屋市営地下鉄の車両に対する各種検査や整備作業が実施されています。鶴舞線を走る3000形、3050形、そしてN3000形の車両については、日常的な点検から月ごと、列車ごとに行われる検査、さらに車両の主要部分を詳細に調べる重要部検査、そして車両全体を徹底的に点検・整備する全般検査まで、あらゆるメンテナンスに対応しています。

一方、桜通線で使用される6000形や6050形についても、月検査以上の規模の検査はこちらで行われます。ただし、日常的な点検作業は徳重にある車庫で実施されています。桜通線車両を日進工場へ回送する際には、鶴舞線と接続する丸の内駅に設けられた連絡線を活用し、鶴舞線を経由するルートが用いられます。通常時、桜通線用の車両が2編成、検査や乗務員の訓練に利用するため、当工場に留め置かれています。

また、上飯田線の7000形は、書類上は日進工場の所属とされています。しかし、実際の車両保守や整備作業は、名古屋鉄道（名鉄）に委託されており、犬山検車場で日常的な管理が行われています。特に、車両の重要部検査や全般検査といった大規模な検査は、名鉄の舞木検査場で実施されています。この7000形車両を犬山検車場と日進工場の間で移動させる必要がある場合は、名鉄犬山線を経て鶴舞線に入る経路が使われます。将来的に車両を廃車する際の搬出作業についても、当工場ではなく、名鉄車両の搬出に使われる名電築港で行われる見込みです。

かつて日進工場の敷地内には、名古屋市営地下鉄で唯一の存在だったディーゼル機関車が配置されていました。この機関車は、工場内で車両を移動させるなどの入換え作業に用いられていましたが、長年の使用による老朽化のため、2016年（平成28年）にその役目を終え、廃車されました。

鶴舞線では、夜間に車両を外部で留め置く「外泊運用」が基本的に組まれていないため、相互直通運転を行っている名鉄の100系車両が通常、日進工場に乗り入れることはありません。ただし、交通局の車両に代わって運行を担当する際には、豊田市方面から回送列車として送り込まれることがあります。また、運行に支障をきたすような異常事態が発生した際には、例外的に名鉄車両が当工場へ乗り入れ、夜間滞泊することもあり得ます。

車両の廃車に関しても、鶴舞線車両の搬出は当工場で行われます。桜通線車両の廃車搬出も、将来的には当工場から行われることが想定されています。このように、日進工場は名古屋市営地下鉄の安全で安定した運行を支える上で、非常に重要な役割を担う拠点となっています。

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