名古屋市交通局1150形電車

名古屋市交通局1150形電車

名古屋市交通局1150形電車は、かつて名古屋市内で運行されていた路面電車で、運輸の要として重要な役割を果たしました。1944年から1948年にかけて製造され、合計27両が作られました。この形式は、全面的な設計が新たに施された車両でありながら、旧型の台車や電装品の一部が流用されている点が特徴です。

概要

1150形電車は老朽化が進んでいた木造車両LB形の台車と電装品を再利用し、新たな車体を組み合わせることで生まれました。最初の9両は1944年に日本車輌製造によって製造され、その後も追加生産が行われました。これにより、名古屋市の市電網における適応性の高い中型車が確保されました。

この車両は、全長13メートルほどのサイズであり、最大定員は100名です。その持ち運び能力の高さから、市の交通機関にとって必要不可欠な存在となり、1950年代の名古屋市電における主力車両の一つとして活躍しました。

デザインと機能

1150形電車は、直列に並んだ3枚の窓を持つ前面を特徴とし、中央の扉の上には行先表示幕が設置されています。車体の側面には、引き戸が2枚と、中央に1枚の引き戸が配置されており、乗客の出入りがしやすい設計となっています。参考として、足回りには2基の50PSモーターが装備され、電動機のパワーを生かして安定した走行を実現しています。

車内の内部は、当時の材料を使い、天井の内張りがないまま製造されたため、少々質素な印象を与えました。しかし、1950年代初頭から内装の改装が進み、座席の配置や照明の改善が行われました。

運行と運用

名古屋市交通局1150形電車は、主に大久手の安田車庫に配置され、市内の東南部地域を走行する系統で頻繁に使用されました。とりわけ、栄町線と呼ばれる主要路線では、他の車両と連携しながら多くの乗客を運ぶ役割を果たしました。

1960年代以降、市電の運行縮小に伴い、老朽化した高床車両が段階的に廃止される中でも、低床改造された1150形は安田車庫を基盤に主力車両として運用され続けました。

改造と変遷

1150形の一部は、1950年代から1960年代にかけて低床式への改造が行われ、『セミPCCカー』として生まれ変わりました。この改造により、乗客の乗降がしやすくなり、バリアフリーの一環としても評価されました。

1960年代、社会的な需要や運行形態の変化に伴い、全ての車両がワンマン運転に対応するように改造され、新たな運転方式への適応が進められました。

保存状況

名古屋市交通局1150形電車は、現在ではすべてが廃車され、実際の車両を見ることはできません。一部の車両は他の鉄道会社に譲渡されたものの、最終的には大半が運用を終えました。

参考文献として、名古屋の市電に関するさまざまな文献が存在し、これらは名古屋市の交通史を知るための貴重な資料となっています。このように1150形電車は、名古屋市における歴史的な都市交通の一部であり、今でもその存在は多くの人々の記憶に刻まれています。

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