名古屋市交通局1700形電車

名古屋市交通局1700形電車

名古屋市交通局1700形電車は、名古屋市の交通体系の節目となった路面電車車両です。この車両は、1950年から1951年にかけて製造され、名古屋市交通局が保有していました。戦時体制の影響を受けた2700形連接車の製造が中断された後、未完成の鋼体を再利用した結果、5両が竣工しました。

製造の背景

名古屋市交通局は1940年代中頃から2700形連接車を製造する計画を進めていました。しかし、終戦とその後の状況によって製造が打ち切られた11編成のうち、残った鋼体5編成分が存在しました。交通局はそれらの鋼体を引き取り、1編成を再編成する案を立て、ボギー車1両として完成させることが決まりました。その際、既存の台車や電気部品は交通局の在庫を利用し、3社に製作が委託されました。1950年12月に作業が始まり、翌1951年7月に1700形として5両が完成しました。

車両の特徴

完成した1700形電車は、長さ12メートルの中型車両でありながらも、外観は鋼体の基本形を基にデザインされました。そのため、正面には3枚の窓が並ぶものの、中央の窓は他の2つよりも縦の長さがあり、方向幕の位置も右側窓の上に配置されています。また、側面の窓や扉の配置は独特で、名古屋市電の中では唯一の「前中2扉」という構造を持っていました。

1700形は直接制御方式を採用し、50PSモーターを2基搭載し、ブリル76E2に類似した台車を装備していました。その性能は、1500形に準じていますが、特殊な窓・扉配置や編成数の少なさから、主に下之一色線での運用となりました。

運行実績

1700形は、新造された直後から下之一色線専用の車両として下之一色車庫に配置されました。1969年2月の路線廃止まで、70号系統での運用を続けました。1954年にはワンマン運行が開始され、同系列の1600形とともにワンマン化改造が施され、赤帯で装飾されたワンマンカーとして運行されました。

車両の改造

1700形電車は、下之一色線の単線運転に適応するため、すべての車両が単線運転用の設備を設置されています。正面左側の窓上には、後続車両の確認を助けるための2灯の「後続車確認標識灯」が特徴的です。また、ワンマン化改造に際しては、オルガンタイプの操作卓が設置され、赤帯が車体に加えられました。

現在、1700形電車は他都市への譲渡や保存が行われていないため、現物を見ることはできません。

車両諸元

• - 車長：11665mm
• - 車高：3795mm
• - 車幅：2360mm
• - 定員：70名
• - 自重：14.0t
• - 台車：ブリル76E2型のコピー品
• - 電動機：50PS（36.8kW）×2

基本的に、1700形は名古屋市電の歴史の中で重要な役割を果たし、多くの街の人々に親しまれてきました。

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