名古屋市交通局BLC形電車

名古屋市交通局BLC形電車

名古屋市交通局がかつて保有していたBLC形電車は、日本の交通機関における重要な歴史的遺産です。この車両は、後に1300形と改称され、名古屋市内で活躍しました。「BLC」の名称は「Bogie Low-floor C type」の略であり、路面電車の中でも独自の位置を占めていたことがわかります。

概要

1929年7月、田中車輌により16両が製造されました。BLC形は、既存の1200形の成功に基づいて、改良された大型の半鋼製低床ボギー車両として設計されたのです。この車両は全長14.03m、重さ17.88tというボディサイズであり、名古屋市電ボギー車としては最大のものとされます。側面の外板は約3mmの厚さを持ち、耐久性の高い頑丈な構造が際立っています。

製造当時には、モダンな溶接技術が普及する前のため、半鋼製の車体はリベットの多い特徴を持ち、重厚感ある外観を形成していました。車両の端部は曲線を描く形状となっていましたが、1200形ほど細長い印象ではなく、むしろ安定感を感じさせるデザインとなっています。窓配置はD6D6Dで、車両の両端には片開きの1枚扉、中央部には両開きの2枚扉が設けられていました。前面は中央窓を挟んだ3枚の窓からなり、車体のデザインも特別でした。窓の上部には方向幕があり、窓下には前灯や車両番号が取り付けられていました。

集電装置は、当初はトロリーポールが装備されていましたが、後にビューゲルに改造されました。動力は直接制御方式で、50PSモーターが2基装備され、ブリル39E2型の類似の台車に乗っていました。完成当初はその大きさが故に運行に限りがありましたが、車両の大きさは輸送力を劇的に向上させることができました。

運用

戦時中には、2600形や3000形の連接車と共に利用され、工員の輸送に力を発揮しました。戦後は高辻車庫に全車両が配置され、東郊線系統を中心に名古屋市内で運行されました。特にラッシュ時にはその収容力の高さから重宝されていましたが、高性能の新型車両が増加するにつれ、BLC形電車の運用は次第に減少しました。1970年代には、ワンマン化改造の対象となることはありませんでした。

最終的に、1969年から1971年にかけて、全車両が廃車される結果となりました。

保存車・譲渡車

1970年7月、名古屋市電展示場が開設された際、最後の1両である1316号が保存されました。しかし、屋外での展示により年々朽ちていき、1979年に展示場が閉鎖された際には解体されてしまいました。このBLC形は、他の都市や会社への譲渡は行われなかったため、名古屋市交通局の貴重な遺産としての役割を果たしました。

車両諸元

• - 車長：14030mm
• - 車高：3538mm
• - 車幅：2438mm
• - 定員：90名
• - 自重：17.88t
• - 台車：ブリル39E2型の類似コピー品
• - 電動機：50PS（36.8kW）×2
• - 製造：田中車輌

このBLC形電車は、名古屋市の交通史を語る上で欠かせない存在であり、その性能や歴史的意義は多くの鉄道ファンや市民にとって深い愛着を持たれています。

もう一度検索