名古屋鉄道モノレール車庫

モノレール車庫（モノレールしゃこ）

かつて愛知県犬山市に設けられていた、名古屋鉄道が保有する車両基地です。この施設は、同社が運営していたモノレール路線であるモンキーパークモノレール線の専用車両基地として運用されていました。

概要

このモノレール車庫は、モンキーパークモノレール線の終点駅であった動物園駅のすぐ東側に隣接する形で立地していました。遊園施設である日本モンキーパークの敷地内に位置しており、その面積は約653平方メートルでした。施設内には、最大でモノレール車両を6両まで同時に留置しておくことが可能なスペースが設けられていました。

組織体制としては、名古屋鉄道の主要な車両整備拠点である犬山検査場の管理下に置かれていました。車庫で行われる日常的な作業や車両の検査、整備にあたる係員も、主にこの犬山検査場から派遣される体制が取られていました。

機能

モノレール車庫の主要な役割は、モンキーパークモノレール線で使用される唯一の形式であったMRM100形車両の維持管理および安全確保のための検査・整備でした。ここでは、車両の健全な状態を保ち、安全運行を支えるために、以下のような各種検査作業が実施されていました。

日常点検: 毎日の運行前に行われる基本的な車両状態の確認。
月検査: 1ヶ月ごとに行われる定期的な点検作業。
列車検査: 一定の走行距離や期間ごとに行われる、より詳細な機器の点検。
全般検査: 車両全体を対象に、主要機器を分解して行う大規模な定期検査。
* 重要部検査: 車両の走行装置や制動装置など、安全に関わる重要な部分を重点的に検査する大規模な点検。

モノレール車両は、一般的な鉄道車両とは異なる独特の構造を持つため、その検査・整備には専門的な技術と設備が不可欠でした。この車庫には、これらの専門的な作業に対応するための設備が整えられており、車両の安全な運行を支えていました。

ただし、この施設内で対応することが困難な極めて重大な故障や損傷が発生した場合には、当該車両を犬山検査場まで搬送し、より高度な設備や技術を有する同所で修理や詳細な原因究明が行われる体制となっていました。

施設構造と車両

車庫内での車両の移動や、検査線への入線・出線には、トラバーサーと呼ばれる特殊な設備が用いられていました。これは、車両を載せた台車を線路に対して直角方向に移動させることで、限られた敷地内でも効率的に車両の入換や留置線、検査線への誘導を行うための装置です。

モンキーパークモノレール線で使用された車両は、開業から廃止に至るまで一貫してMRM100形のみでした。そのため、このモノレール車庫で日常的に取り扱われ、検査や整備の対象となった車両形式も、路線の全期間を通じてこのMRM100形に限定されていました。

沿革

このモノレール車庫は、1962年（昭和37年）3月21日、当時の路線名であるラインパークモノレール線（犬山遊園駅 - 動物園駅間）の開業と同時に開設されました。以来、約46年間にわたり、同路線の車両基地としての役割を果たし続けました。

しかし、その後の社会情勢や利用状況の変化などから、モンキーパークモノレール線自体が廃止されることが決定しました。これに伴い、このモノレール車庫もその役目を終えることとなり、最終運行日である2008年（平成20年）12月27日の翌日、2008年（平成20年）12月28日に閉鎖されました。

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