名探偵コナン 14番目の標的

劇場版『名探偵コナン』シリーズの第2作として1998年に公開された『名探偵コナン 14番目の標的』（ターゲット）。

概要

本作は、毛利小五郎とその関係者が、名前や異名に含まれる数字に沿って次々と狙われるという連続殺人事件を描いています。犯行現場には、被害者の数字を表すトランプのカードが残されるという異様な状況。コナンは、事件の裏に隠された小五郎の過去、そして複雑な人間関係に迫っていきます。映画のキャッチコピーは「次に狙われるのは誰だ!?」。

物語は、小五郎が過去に担当した事件、そしてそれが原因で夫婦が別居するに至った経緯を交えながら展開します。一連の事件は、一見無関係に見える人々の間に潜む深い怨恨と、過去の事件がもたらした歪みを浮き彫りにしていきます。また、本作では目暮警部や白鳥刑事の名前の由来が明かされ、シリーズの公式設定として定着しました。

テレビシリーズから、妃英理が初めて登場した作品でもあります。

あらすじ

蘭が見た悪夢。それは、母・妃英理が銃で撃たれるという衝撃的な内容でした。不安に駆られた蘭は英理に電話をかけますが、その直後から、小五郎の関係者が次々と襲われる事件が発生します。被害者の名前には数字が含まれており、現場にはトランプのカードが残されていました。

目暮警部はボーガンで狙撃され、英理には毒入りチョコレートが送られます。さらに、阿笠博士も襲撃を受け、コナンは一連の事件が小五郎に関係する人物を狙ったものであることに気づきます。容疑者として浮上したのは、過去に小五郎に逮捕された村上丈。しかし、コナンは事件の背後に、村上を利用した真犯人の存在を感じ取ります。

事件の捜査が進むにつれ、小五郎が刑事を辞めるきっかけとなった事件が明らかになります。それは、村上が英理を人質に取り、小五郎が発砲した弾丸が英理の足をかすめたというものでした。蘭は、両親の別居の原因がこの事件にあると考え、小五郎への信頼を揺るがします。しかし、コナンは「小五郎が英理を撃ったのは事実でも、それが真実とは限らない」と諭します。

新たな舞台は、海洋娯楽施設「アクアクリスタル」。そこには、名前に数字を持つ人々が集められていました。ソムリエの沢木公平、オーナーの旭勝義、モデルの小山内奈々、エッセイストの仁科稔、カメラマンの宍戸永明、ニュースキャスターのピーター・フォード。それぞれの思惑が交錯する中、奈々が殺害され、施設は爆破によって水没の危機を迎えます。

コナンは、水没した施設からの脱出を試みながら、事件の真相に迫ります。そして、犯人の動機、トリックを解き明かし、沢木公平が真犯人であることを暴き出します。沢木は、過去の事故によって味覚を失い、その原因となった人々への復讐を企てていました。追い詰められた沢木は、アクアクリスタルを崩壊させようとしますが、コナンと小五郎によって阻止されます。事件解決後、蘭は小五郎が英理を撃った真意に気づき、両親の絆を再確認するのでした。

登場人物

江戸川コナン: 本作の主人公。工藤新一が小学生の姿になった少年。
毛利蘭: 本作のヒロイン。新一の幼馴染でガールフレンド。小五郎の娘。
毛利小五郎: 蘭の父親。眠りの小五郎と呼ばれる私立探偵。
目暮十三: 警視庁の警部。
阿笠博士: コナンの正体を知る発明家。
妃英理: 蘭の母親。法曹界のクィーンと呼ばれる弁護士。
沢木公平: ソムリエ。本作の犯人。

テーマ

本作は、過去の出来事が現在に及ぼす影響、そして人間関係の複雑さを描いています。また、親子の絆、信じることの大切さもテーマとして盛り込まれています。コナンが事件を解決する中で、蘭は両親の過去と向き合い、小五郎への信頼を取り戻します。

その他

本作は、タイトルに初めて「日本語で書いて英語で読む語」が用いられた作品。
* 主題歌はZARDの「少女の頃に戻ったみたいに」。

『14番目の標的』は、スリリングなストーリー展開、魅力的なキャラクター、そして感動的なテーマが融合した、劇場版名探偵コナンの代表作の一つです。

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