名生館官衙遺跡

名生館官衙遺跡について

名生館官衙遺跡は、宮城県大崎市にあり、名生館・名小館・名生北館の地域に広がる遺跡です。この遺跡は多賀城が建立される以前に築かれた官衙として位置付けられており、歴史的価値が非常に高いとされています。

概要

この遺跡は、中世には奥州探題大崎氏の城があった場所として知られています。しかし、1980年代に周辺地域が農地に改変された際に多量の瓦が発見され、古代の遺構であることが初めて明らかになりました。それまでは古い遺跡としての認識は薄かったのですが、その後の調査により、多賀城創設の時期に遡る重要な官衙としての定義がなされました。

1980年から開始された発掘調査では、遺跡の実態に関する多くの情報が得られましたが、玉造柵への関連を示す直接的な証拠は見つかりませんでした。それでも、この遺跡が官衙であることは確実とされ、1987年には国の史跡に指定されるに至ります。調査によって、7世紀末から8世紀にかけてこの地域において郡（評）家がすでに存在していたことが確認されました。このことから、大崎地方が内国化していたことも明らかとなっています。

規模と遺構・遺物

名生館官衙遺跡は、県北の大崎平野北西部に位置し、比高10メートル程度の低い台地上に広がっています。遺跡の面積は南北約110メートル、東西約700メートルに及び、7世紀末から9世紀にかけての官衙関連の遺構が数多く発見されています。この遺跡の中心部と見られる一郭は、東西52.4メートル、南北60.6メートルと考えられ、ここには北側に7間×5間の瓦葺きの堂が配置されています。また、その西側には10間×2間と8間×2間の2棟が並んでいる南北の構造が確認されています。

発見された瓦には、八葉単弁蓮花文軒丸（のきまる）やロクロ挽重弧文軒平（のきひら）が使用されています。これらの瓦は、7世紀末から8世紀初頭にかけてのものであり、当時の建築様式や文化を知る上で貴重な資料となっています。

まとめ

名生館官衙遺跡は、古代の官衙としての重要性を証明する遺跡であり、地域の歴史を物語る重要な遺構です。今後もさらなる研究と発掘が期待され、歴史的な価値がさらに深まることが予想されます。

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