名誉十字章

名誉十字章について

名誉十字章（ドイツ語: Ehrenkreuz des Weltkrieges）は、ナチス・ドイツの時代に設立された歴史的な勲章です。この勲章は、国家社会主義ドイツ労働者党が政権を握った1934年7月に、当時のドイツ大統領パウル・フォン・ヒンデンブルクの名の下に制定されました。そのため、一般には「ヒンデンブルク十字章」とも呼ばれています。この勲章は、1914年から1918年にかけて行われた第一次世界大戦において、ドイツ帝国軍の兵士として戦った者たちを讃えることを目的としていました。さらに、1938年のオーストリア併合後には、オーストリア＝ハンガリー帝国の兵士として戦った者たちにも授与されることとなりました。

名誉十字章の種類

名誉十字章は、大きく分けて3種類の勲章が存在します。それぞれの勲章は異なる対象者に授与されました。以下にその概要を示します。

1. 前線戦士名誉十字章 (Ehrenkreuz für Frontkämpfer)
- この勲章は、前線で実際に戦闘に参加した軍人に授与されるもので、特に名誉ある存在とみなされました。

2. 戦争参加者名誉十字章 (Ehrenkreuz für Kriegsteilnehmer)
- こちらは戦闘には参加していなかったが、戦争に従事した軍人を対象とした勲章です。

3. 近親者名誉十字章 (Ehrenkreuz für Hinterbliebene)
- 戦死した軍人の家族へ授与されるもので、遺族への配慮を示す重要な意味を持っています。

最終的には、前線戦士名誉十字章は約625万個、戦争参加者名誉十字章は約120万個、そして近親者名誉十字章は約72万個の叙勲が行われ、総数はおよそ804万個に及びます。

デザインの特徴

名誉十字章のデザインは、ユージーン・ゴーベットによって手掛けられました。この勲章は、鉄十字章に似た形状をしていますが、実際には小型化されている点が特徴です。勲章の中央には「1914」と「1918」の2つの数字が並び、これは第一次世界大戦の開戦年と終戦年を示しています。裏面は装飾が施されず、シンプルに平面となっています。

特に前線戦士名誉十字章は、中央の数字の周りに月桂冠があしらわれ、交差した剣がデザインされているのが目を引きます。対照的に、戦争参加者名誉十字章と近親者名誉十字章は、柏葉冠が用いられ、剣は取り入れられていません。また、近親者名誉十字章は黒色であることが大きな特徴となっています。リボンは前線戦士と戦争参加者で共通の色合いを持ち、前者には交差した剣のバッジが含まれています。

結論

名誉十字章は、戦争の犠牲者に敬意を表することを目的とした勲章であり、戦争参加者やその家族にとって特別な意味を持つものでした。多くの人々に授与されたこの勲章は、ナチス・ドイツ時代の歴史を象徴する一部となっています。

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