名谷車両基地

神戸市須磨区に位置する名谷車両基地（みょうだにしゃりょうきち）は、神戸市営地下鉄西神・山手線が使用する主要な車両基地です。名谷駅のごく近くに設けられており、この路線の安定運行を支える重要な役割を果たしています。

概要と機能

この車両基地は、主に名谷駅以東の区間における輸送需要に対応するための車両を収容し、また全所属車両の検査・修理（検修）を行うことを目的として設置されました。基地の建設は1975年4月に開始され、まず車両を収容する車庫施設が1976年2月に完成しています。その後、より高度な整備を行う工場施設が1978年5月に竣工し、その機能が確立されました。基地の業務は、これらの施設が整うのに先立つ1975年 8月3日に既に開始されています。

広大な敷地内では、日常的な点検から大規模な分解検査まで、多岐にわたる検修作業が行われています。これらの作業を効率的に行うため、構内では検修対象車両を移動させる専用の機械が使用されています。これは軌道と道路の両方を走行できる軌陸式車両移動機と呼ばれ、鉄道車両としては扱われず、機械として管理されています。

敷地と歴史

名谷車両基地の業務は1975年 8月3日に始まり、翌1976年2月23日には記念すべき第一編成の車両がこの基地に搬入されました。車両搬入後、同年8月6日からは名谷駅から新長田駅間での試運転が開始され、路線の開業に向けた準備が進められました。そして1977年3月13日には、名谷駅～新長田駅間の営業運転が無事開始されています。

路線の延伸計画に伴い、基地の敷地内でも整備が行われました。特に、西神延伸線が着工された1982年8月30日から、1985年 6月18日にかけて、敷地全体の機能強化に向けた工事が進められました。また、1995年 1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、基地も被災しましたが、その後の復旧を経て、再び重要な役割を担い続けています。

所属車両

現在、名谷車両基地に所属し、西神・山手線および北神線で運用されているのは、神戸市交通局6000形電車です。この車両は、近代的なデザインと設備を備えています。

過去には、開業当初から長年にわたり運行を支えた車両もこの基地に所属していました。主な形式として、神戸市交通局1000形電車、神戸市交通局2000形電車、そして神戸市交通局3000形電車が挙げられます。これらの車両は、後継車両への置き換えに伴い、全て引退しています。

静態保存車両

名谷車両基地では、神戸の交通史を物語る貴重な車両が複数、静態保存されています。保存されているのは、かつて神戸の街を走った市電の車両や、初期の神戸市営地下鉄車両、さらには北神急行電鉄で活躍した車両の一部です。

具体的には、市電700形や市電800形といった路面電車、そして地下鉄車両として1000形1101号車が原型を保った形で保存されています。また、2000形2119号車、3000形3123号車、そして北神急行7000系7051号車は、車両全体ではなく前頭部のみが保存されています。

これらの保存車両は、通常は基地内の非公開エリアに保管されているため、いつでも自由に見学できるわけではありません。一般公開される機会は、原則として毎年秋に実施される「鉄道の日」に関連したイベントに限られています。なお、このイベントは新型コロナウイルスの影響などにより、2020年から開催が見送られていましたが、2023年より再開されています。

周辺施設

名谷車両基地の周辺には、神戸市営地下鉄の駅や公共施設などが点在しています。最寄りの名谷駅の他、総合運動公園駅も比較的近い位置にあります。また、医療機関としては国立病院機構神戸医療センター（旧称：国立神戸病院）などが周辺に存在します。

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