名豊ビル

名豊ビルについて

名豊ビル（めいほうビル）は、愛知県豊橋市の中心部、駅前大通に位置する複合商業施設で、1968年10月8日に開業しました。その長い歴史の中で、地域の重要な商業拠点として人々に親しまれてきましたが、2017年4月30日に営業を終了しました。

歴史の背景

名豊ビルが建設される前、戦前のこの地には豊橋市立狭間尋常小学校が存在していました。しかし、1945年の豊橋空襲によって校舎は大きな被害を受け、学校は1949年に閉校し、その後、松山小学校に統合されました。戦後、駅前広場の「闇市」が形成され、しばらくしてから移転が行われました。その移転先には、寺の境内や狭間小学校跡地が指定され、1950年には「大豊百貨店」が開業しました。

名豊ビルの計画は、東三河地方の総合開発の一部として始まり、1968年には名古屋鉄道や豊橋鉄道、地元の財界による出資を受け、建設が進められました。ビルは、地下にバスターミナルと食品街、地上には専門店街やスーパーマーケット、ホテル、中日文化センターなどが入居する複合施設となりました。

開業と成長

名豊ビルの開業は、豊橋市の駅前における人の流れを劇的に変化させました。当初の歩行者通行量は約5,700人でしたが、名豊ビル開業後は約11,100人に増加し、1970年にはさらに22,800人に達しました。これにより、周辺地域の商業も活性化しました。また、1972年には駐車場が開設され、1974年には新館が加わるなど、施設は拡張を続けました。

経営の変遷と閉館

2004年には中部ガスの完全子会社となり、運営がサーラグループに引き継がれることになりました。2008年には名豊ビルの事業部門が中部ガス不動産へと統合され、その後も地域の商業施設としての役割を果たしていました。しかし、徐々に利用者が減少し、2011年にはグランドホテルが閉館、2016年にはバスターミナルも廃止されました。

そして、2017年の営業終了を経て、名豊ビルは2018年に取り壊されました。豊橋市では、取り壊し後の跡地に新たな開発計画が進められ、再開発プロジェクトが立ち上げられました。このプロジェクトは「em CAMPUS」と名付けられ、地下1階と地上24階で構成された新しい施設が2021年に完成しました。

施設の概要

名豊ビルは、開業当初から多様な店舗を抱え地元経済に貢献していました。地下1階にはバスターミナルと食品街、地上1階から4階は専門店、7階には豊橋グランドホテルがありました。特に、地元資本からの店舗が多く展開され、地域住民にとって身近な存在でした。

閉館後もその地は再開発により、新たな商業空間として生まれ変わりました。新しい施設は、商業施設、公共施設、オフィス、住居などが統合された複合体となり、地域に新たな活力をもたらしています。名豊ビルの歴史は、その後の豊橋市の発展にも大きな影響を与えたといえます。

もう一度検索