名鉄ワフ50形貨車

名鉄ワフ50形貨車とは

名鉄ワフ50形貨車は、名古屋鉄道で運用されていた有蓋緩急車です。全体で12両（番号51-62）が運用され、特に1940年代には継続的に改造が行われたため、非常に興味深い歴史を持っています。この貨車は、元々は名古屋電気鉄道によって製造されたデワ1形電動貨車から派生し、最終的には有蓋貨車として使用されることとなります。

沿革の始まり

最初の段階として、デワ1形は双方に運転台を持つ設計でありましたが、貨車として改造される過程でその運転台は撤去され、固定2軸式の台車に変更されました。1918年に改番届が出された際、22両全てが電装解除されて貨車へと改造されたことが記録されていますが、実際の改造作業は1921年まで続きました。この結果、名古屋鉄道は、貨車の後方防護に必要性が生じたため、12両を緩急車へと再改造することが決定しました。

改造と名称変更

この再改造した12両は、台枠を延長し、再び運転台を設置したことで「ワフ1形」という新しい形式が誕生しました。その後、1928年に空気ブレーキが搭載されていなかったため、形式名は「ワブ1形」へと改称されました。一方、改造されなかった10両は1939年に廃車となってしまいます。

有蓋貨車からの変遷

1941年には、ワブ1形が鉄骨木造車体へと改造され、最終的にはワフ50形へと変わりました。なかでも、ワフ62は、第二次世界大戦中の資材不足対策によりサ60形へと改造され、この際に車体に新たに扉や窓が設置され、屋根にはベンチレーター、天井には吊革が取り付けられました。ただし、座席は設置されていませんでした。

輸送の現場での役割

サ60形は、広見線において工員輸送のために用いられました。デワ1000形電動貨車に牽引されて運行されていましたが、資材不足に合わせてモ1300形に改造されて輸送力を強化しました。戦後、戦時中の改造車両は元の貨車に戻され、サ60形61も1948年にワフ50形62として再び使用されることになります。

更新とその後

1951年には、全車両に空気ブレーキが追加され、1955年から1958年の間に車両更新が行われました。この更新では車掌室の改良や車軸の延長といった改造が実施され、結果として積載容量が減少しました。それでも、ワフ50形は1979年まで運用を続け、名鉄最後の緩急車としての地位を守りましたが、1980年に除籍となり形式消滅しました。

参考文献

名鉄ワフ50形の歴史や改造についての詳細は、様々な文献に記されています。特に、白井良和氏の「名鉄モ1300形一党の写真を求む」や、清水武や田中義人による『名古屋鉄道車両史』が有用な情報源となっています。

もう一度検索