名鉄DB30形ディーゼル機関車

名鉄DB30形ディーゼル機関車

名鉄DB30形ディーゼル機関車は、1960年に日本輸送機によって製造された小型のディーゼル機関車です。この機関車は、名古屋鉄道で運用されていたもので、全体で2両が存在しました。両車両の番号は31号機と32号機で、特にトヨタ自動車の専用線での使用が特徴的です。

主な使用用途と運用

31号機は三河線の土橋駅で、トヨタ自動車の土橋工場に接続する専用線の運用に使われていました。土橋工場は、自動車製造の重要な拠点であり、この専用線を通じて工場内での物資輸送が行われていました。一方、32号機も同様に土橋工場での使用が行われ、その後は名古屋鉄道の本社工場で運用が続けられました。所有権はトヨタ自動車にありながら、名古屋鉄道に車籍が編入されていたため、名古屋鉄道の一部として機能していました。

加えて、DB30形機関車の両機は、名古屋鉄道の専用線だけでなく、日本国有鉄道（国鉄）岡多線の北野桝塚駅においても用いられるなど、輸送手段としての役割を果たしていました。このようにして、名鉄DB30形は、主に工場内での貨物輸送に特化した機関車として、効率的な輸送を支えていました。

廃車とその歴史

1980年代には、自動車輸送の方法が変化していく中で、DB30形もその影響を受けることになります。1984年に鉄道による自動車輸送が中止された後も、31号機は長い間在籍していましたが時代の流れとともにその存在意義が薄れました。1988年には、国鉄岡多線が第三セクターの愛知環状鉄道に移管されたことから、31号機は使われなくなり、その年の12月に廃車されてしまいました。

一方、32号機は1975年に同じトヨタ自動車の本社工場で運用されていたDB12と共に廃車されました。このように、名鉄DB30形ディーゼル機関車は、トヨタ自動車の専用線において重要な役割を果たしながらも、時代の変遷に伴い廃車され、運用を終えていきました。

参考文献

この特徴ある機関車の詳しい歴史については、清水武、田中義人、澤内一晃著の『名古屋鉄道の貨物輸送』（フォト・パブリッシング、2021年）を参考にしていただければと思います。この著書では、名古屋鉄道の貨物輸送の実態に迫り、さまざまな運用実績や背景が解説されています。

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