向島 (花街)

向島（むこうじま）概説

向島は東京都墨田区の向島5丁目に位置する、東京の有名な花街の一つです。江戸時代から続くその歴史は、風光明媚な隅田川沿いに身を寄せながら、人々の心を惹きつけてきました。もともとは風景や自然が魅力的な地域であった向島は、やがて料理屋が立ち並ぶようになり、花街としての発展を遂げました。

歴史的な背景

向島の起源は明治時代にさかのぼります。料理屋の開店が花街の始まりとされています。かつては、待合や料理屋が100軒から200軒あり、芸妓は1000名以上が在籍する活気に満ちた場所でした。中でも、洋装のダンス芸妓の人気が高まり、さらなる賑わいを見せました。

向島周辺には「玉の井」と呼ばれるエリアもあり、そこには売春を行う店舗が集まりました。これらの店は飲食店を装いながら、非公認の遊廓として機能していました。しかし、関東大震災や第二次世界大戦の危機を乗り越えながらも、昭和後期に入ると、次第に料亭や芸妓の数は減っていきました。

現在の向島

2009年の時点では、向島には18軒の料亭と120名の芸妓が存在しています。戦前には複数存在した見番は、「向嶋墨堤組合」として統合され、現在も芸妓の技芸向上や後進の育成に努めています。この組合は、春に桜茶屋を設けて花見客を接待する取り組みなど、地域の文化を後世に伝えようとしています。

向島を舞台にした作品

向島の魅力は文学やアートにも影響を与えています。有名な作品には、作家永井荷風による『向嶋』があり、また、向島を描いた浮世絵も存在します。1987年に放送されたテレビドラマ『おヒマなら来てよネ!』も向島を舞台にしています。

参考文献

向島に関する歴史や文化をさらに深く学ぶためには、以下の文献が有用です。

• - 浅原須美『東京六花街 芸者さんから教わる和のこころ』ダイヤモンド社、2007年
• - 上村敏彦『東京 花街・粋な街』街と暮らし社、2008年

外部リンク

詳細な情報を求める方は、向嶋墨堤組合の公式ホームページを訪れることをお勧めします。

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