君が主で執事が俺で

『君が主で執事が俺で』：多角的なメディア展開で人気を博した恋愛アドベンチャーゲーム

2007年5月25日、みなとそふとより発売されたWindows用恋愛アドベンチャーゲーム『君が主で執事が俺で』は、同社のデビュー作にして、大きな話題を呼びました。略称は「きみある」で、その漢字部分から「君主」、平仮名部分から「がでがで」と呼ばれることもありました。美少女ゲームアワード2007プロモーション賞を受賞するなど、高い評価を獲得しています。

ゲームの概要と特徴

シナリオは『つよきす』で知られるタカヒロ氏、原画は白猫参謀氏が担当しており、きゃんでぃそふとからの独立後初めての作品となりました。ゲーム発売前の2007年3月には、早くもメディアミックス展開が決定されており、2008年1月には関東ローカルでテレビアニメが放送開始、ドラマCDも発売されるなど、多方面での展開がなされました。

ゲームシステムは、3月上旬から5月下旬までの期間を舞台に、久遠寺三姉妹のいずれか一人を主人公が執事として仕えるというものです。久遠寺家には「専属」制度があり、専属となった主への奉仕を優先的に行うことになります。また、選択した主を攻略することで、その主の元からいるメイドも攻略可能というシステムも特徴的です。選択肢は比較的少なく、理不尽なバッドエンドもない、遊びやすい構成となっています。忠誠の証として、選んだ主の身体のどこかにキスをするという、ユニークな要素もあります。

物語は、主人公・上杉錬と姉の上杉美鳩が、父親の家庭内暴力から逃れるために家出し、七浜市（モデルは横浜市）で生活を始めるも資金難に陥るというところから始まります。そんな中、ひょんなことから久遠寺家と関わりを持ち、当主・久遠寺森羅に拾われることになり、使用人として雇われることになります。錬の執事としての生活が、ここから始まります。

魅力的なキャラクターたち

ゲームには、個性豊かなキャラクターたちが多数登場します。

主人公：上杉錬

単純で血の気が多く、喧嘩っ早い性格ですが、意外と気が利き、執事の仕事にもすぐに馴染みます。重度のシスコンで、姉である美鳩を深く愛しています。敬語は苦手です。

久遠寺三姉妹

久遠寺森羅（長女）：才媛でありながら私生活では不器用でだらしがない一面も。尊大な態度を取りながらも、周囲への気遣いを欠かしません。
久遠寺未有（次女）：飛び級で大学を卒業するほどの天才ですが、現在はフリーター。様々な発明品で家計を支えています。しっかり者で、姉妹のツッコミ役でもあります。
久遠寺夢（三女）：明るくフランクな性格で、使用人とも友達感覚で接します。お嬢様育ちですが、のんびりとした性格です。

その他主要キャラクター

朱子（ベニス）：森羅の専属メイド。ツンデレで、プライドが高く、気が強い性格です。料理が得意。
南斗星：夢の専属使用人。ムエタイの達人であり、高い戦闘能力を持ちます。ドジっ娘な一面も。
大佐：久遠寺家の執事兼三姉妹の後見人。元傭兵で高い戦闘能力を持つ、頼れる存在です。
九鬼揚羽：夢のクラスメイト。戦国武将のような言動で、武闘派です。
武田小十郎：揚羽に仕える執事。正義感に厚く、熱血漢です。

これらのキャラクターたちが織りなす物語は、笑いと感動、そして恋愛要素がバランスよく配置された、魅力的な作品です。

メディアミックス展開

『君が主で執事が俺で』は、ゲーム以外にも、様々なメディアミックス展開がされました。

アニメ：2008年1月から3月まで、関東ローカルで全13話が放送されました。原作のシナリオを担当したタカヒロ氏もストーリー構成や脚本に参加しています。
漫画：『月刊コンプエース』で連載されました。白猫参謀氏と皇ハマオ氏の共同制作です。
小説：複数の小説シリーズが発売されています。
ドラマCD：複数のドラマCDが発売され、アニメとは異なる声優も起用されているものもあります。
* ゲーム移植：PS2版とPSP版が発売されています。

これら多角的な展開により、『君が主で執事が俺で』は、ゲームファンだけでなく、アニメファンや漫画ファンなど、幅広い層に支持される作品となりました。独特の世界観と魅力的なキャラクター、そしてユーモラスな展開は、多くの人の心を掴んだと言えるでしょう。

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