君島由希子

君島由希子は、1929年生まれの日本の服飾デザイナーです。彼女は、夫である君島一郎との出会いを経て、ファッションの世界に足を踏み入れました。当初、一郎がデザインを、由希子がモデルを担当するという形でプライベートコレクションを行っていました。

1954年に上京した由希子は、伊東衣服研究所で縫製技術を学びました。3年後、東京・駒込に自身初のアトリエを構え、デザイナーとしての活動を本格的に開始しました。1962年には、青山に君島一郎オートクチュール第一号店がオープンし、由希子はコレクション作品の総責任者として、デザインだけでなく、国外ショーの制作も統括するようになりました。国内では、オートクチュール製品のパターン展開を一手に担い、1996年7月14日に一郎が急逝するまで、その役割を果たし続けました。

1961年に初のファッションショーを開催し、翌年には青山に店舗をオープン。この時、由希子の実家の支援があったことが知られています。店舗開業と同時に長男の君島立洋が誕生し、夫婦は喜びを分かち合いました。

しかし、1997年1月、一郎の死後、愛人の子である佐藤明（後の君島誉幸）がブランド運営の新体制を理由にベテラン社員を解雇したことをきっかけに、由希子と息子の立洋は新会社「ユキコ キミジマ」を設立し、新たなスタートを切りました。設立発表会は1997年6月19日に青山店で行われました。

君島由希子のデザインは、胸下から腰にかけての独特なカッティングシルエットと、高度な技術を要するドレープ処理が特徴で、パリのクチュール界でもその縫製技術が高く評価されました。

彼女の主な実績としては、1964年のホテルニュージャパンでの初コレクション、1976年のマキシムドパリでのファッションショー、そして同年からのパリプレタポルテコレクションへの参加（1991年まで年2回発表）が挙げられます。また、1979年にはパリのビクトルユーゴー通りに「パリキミジマ」をオープンし、海外での活動も積極的に行いました。1980年代には、中国政府の招聘により北京、上海、広州でファッションショーを開催し、国際的な活躍も目覚ましかったと言えます。1991年にはパリのファッション雑誌「ロフィシェル」に作品を発表し、1992年にはインドのニューデリーでファッションショーを開催するなど、その活動は世界各地に及びました。

君島由希子は、夫である君島一郎と共に築き上げたブランドを、彼の死後も守り、さらに発展させていくという強い意志を持って活動を続けました。彼女のブランド「ユキコ キミジマ」は、現在も多くのファンに支持されています。

関連書籍として、君島立洋氏の著書『わが父君島一郎』があります。

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