告別式

告別式（こくべつしき）について

告別式とは、故人に最後の別れを告げるための儀式で、主に東日本で行われる風習です。これは葬儀の後または葬儀の代替えとして実施され、参加者が故人の思い出を共有する重要な場となります。しかし、告別式は葬儀の一部ではなく、誤解されることが多いため、明確に区別されています。

歴史

告別式の起源は1901年の中江兆民の葬儀に遡ります。彼が遺した「死後すぐに火葬を」との遺言により、伝統的な葬式は行われず、彼を悼む人々によって青山墓地で無宗教葬が行われました。この出来事が告別式の始まりとされています。

その後、大正時代に告別式は一般に普及しました。しかし、次第に宗教的な要素を排除した告別式が誕生し、「仏式告別式」や「神式告別式」など、葬儀の焼香部分を外部化したものが行われるようになりました。また、関東大震災以降は、都市部で一般家庭の葬列を省略し、自宅での告別式が行われる傾向が強まりました。

戦後の高度成長期には、地方においても告別式が葬儀の一部として取り入れられ、簡素化が進みました。20世紀末になると、葬儀儀礼は自宅から専用の葬儀場へと移行し、通夜・葬儀・告別式の区別がうやむやになってきたのです。

概要

告別式は通常、通夜の後や葬儀の後に行われ、遺体の出棺前に執り行われることが一般的です。特に、秋田市のような東北地方や九州の一部地域では、先に火葬を行い、その後に告別式を実施する「骨葬」の形が見られることがあります。これらの方法は、遺体の状況や葬儀を行う場所からの距離、感染症のリスクなどの理由により選択されることがあります。

告別式は宗教儀礼とは異なり、主に喪主がその進行を担います。式の内容には、告辞や弔歌の朗読、弔電の披露、参加者による故人への告別などが含まれます。

通夜に参加するのは主に遺族ですが、告別式は故人の社会との別れを表す場であるため、故人を悼む人であれば誰でも参列可能です。参加者は、黒を基調とした喪服やそれに準じる服装を着用するのが一般的ですが、場合によっては「平服でどうぞ」といった場合もあります。

なお、告別式という言葉は、死別の意味とは異なり「個人送別の式」や「離任式」として使われることもありますが、一般にはあまり認知されていないのが現状です。告別式は、故人を偲ぶ大切な儀式であり、その形式や内容には地域や時代に応じたさまざまな工夫が見られます。

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