告森良

告森良（こつもり りょう / こつもり はじめ / つげもり りょう）は、1853年12月21日に伊予国宇和島（現在の愛媛県宇和島市）で生まれ、1919年11月27日に生涯を閉じました。彼は、明治から大正時代にかけて内務官僚として活躍し、官選県知事も務めた人物です。

宇和島藩士であった告森桑圃の長男として生まれた告森良は、1873年に神山県に出仕したのを皮切りに、兵庫県、広島県、長崎県、愛媛県、京都府といった各地で勤務しました。1887年5月には愛媛県東宇和郡長に就任し、その後も兼西宇和郡長、京都府参事官、岐阜県参事官、埼玉県書記官、岡山県書記官、徳島県書記官など、様々な役職を歴任しました。

1908年3月、告森良は鳥取県知事に就任します。鳥取県知事時代には、倉吉中学校や県立商業学校の新設、農事試験場の拡張、耕地整理事業、因伯牛の改良など、県政の発展に大きく貢献しました。特に教育と農業分野への貢献は、その後の鳥取県の発展の基礎を築いたと言えるでしょう。1910年6月には千葉県知事に転任しますが、その直後の8月には利根川が大洪水に見舞われるという事態が発生します。告森良は、この災害に対して内務省に国営による利根川水系の改修工事を働きかけ、その実現に尽力しました。また、県産米の品質向上のため、県営米穀検査の実施を推進するなど、千葉県の農業振興にも貢献しました。1913年6月1日、告森良は依願免本官となり、官僚としての職を退きました。

退官後は、伊達家の顧問を務め、その経験と知識を活かしました。告森良の親族には、衆議院議員の清水隆徳、熊本医学校長の谷口長雄、宇和島市長の赤松桂などがおり、彼らの活躍もまた、告森家の影響力を示す一例と言えるでしょう。

告森良の生涯は、地方行政に情熱を注ぎ、各地の発展に尽くした官僚の姿を伝えています。彼の功績は、日本の近代化を支えた人々の足跡として、後世に語り継がれるべきものです。

参考文献として、人事興信所編『人事興信録』第3版（1911年）、『大正過去帳 物故人名辞典』（1973年）、『愛媛県百科大事典 上』（1985年）、『愛媛県史 人物』（1989年）、歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』（1991年）、秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』（2001年）などが挙げられます。これらの資料は、告森良の生涯と業績をより深く理解するための貴重な情報源となっています。

もう一度検索