呪われた城
呪われた城（Dragonwyck）
『呪われた城』は、1946年にアメリカで公開された白黒映画で、監督をジョーゼフ・L・マンキーウィッツが務めました。製作はダリル・F・ザナックとエルンスト・ルビッチによるものであり、ルビッチは初めにこの作品の監督を担う予定でしたが、体調不良のためマンキーウィッツにその役割を引き継ぐことになりました。この映画は、1944年に出版されたアニヤ・セットンの同名のベストセラー小説を原作としています。
あらすじ
物語は1844年のコネチカット州を舞台にしています。主人公のミランダ・ウェルズは、家族と共に暮らしている普通の少女です。しかし、彼女は親の反対を押し切り、親戚であるヴァン・ライン家の娘カトリンの家庭教師として、ニューヨーク州のドラゴンウィック荘園に住み込むことを決意します。
ドラゴンウィック荘園には、父ニコラスと母ジョアナの間に生まれたカトリンがいますが、両親の折り合いは悪く、カトリン自身も愛情を感じることができません。そのような中、ミランダはカトリンの家庭教師として新しい生活を始めますが、家族の複雑な人間関係に巻き込まれていきます。特にニコラスは、妻ジョアナとの関係が悪化しており、また小作人たちともトラブルを抱えていました。
やがてジョアナが死去したことで、ニコラスとミランダの関係は深まりますが、彼女がニコラスとの間にもうけた子が死んでしまったことが、二人の関係に再び影を落とします。ニコラスは徐々にふさぎ込み、薬物中毒に陥りますが、ミランダは彼を助けることができずに苦しむ日々が続きます。
さらに物語は進み、ヴァン・ライン家のまとめ役である医師ジェフが、ニコラスの健康状態を案じて動き出します。彼は、ミランダの通報によってニコラスの異常な状態を知ることになります。また、ジョアナの死因が病死ではなく、ニコラスの手によるものであることが明らかとなります。ニコラスは自身を取り巻く状況に次第に追い詰められていき、最終的には狂気の中で命を落とします。
物語の最後、ミランダは医師ジェフが信頼できる人物であることを理解し、その存在に安心感を覚えるようになります。『呪われた城』は、愛と狂気が交錯する複雑な人間関係を描いた作品であり、登場人物たちの心の葛藤や社会的な問題が色濃く表現されています。
製作背景
本作は、映画界において著名な存在であるジョーゼフ・L・マンキーウィッツの監督デビュー作であり、彼は後に名監督としての地位を確立することになります。映画は、映像美や演出、俳優陣の演技によって高く評価され、ファンに愛され続けています。原作の中に潜むテーマやキャラクターの深みが、映像化されたことでさらに影響力を持つ作品となりました。
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