呪界

呪界

2013年に公開された日本映画『呪界』は、あたかも事実を記録したドキュメンタリーであるかのような体裁を取りながら、実際には俳優を起用して緻密に作り上げられたホラー作品です。物語の舞台となるのは、日本屈指の自殺名所として国内外にその名が知られる、富士の青木ヶ原樹海。この神秘的でありながらも、数多の哀しい魂がさまようとされる場所で、想像を絶する恐怖の出来事が描かれます。

物語は、樹海の深い森の中で偶然発見された一本のビデオテープから始まります。そのテープには、この地で消息を絶った男女5人の、まさに最期とも言える姿が記録されていました。彼らは一体、なぜ樹海に入り、そしてそこで何に遭遇したのでしょうか。

登場するのは、大学で様々な分野を学ぶ学生たちです。彼らは大学のプロジェクトの一環として、「自殺」をテーマにしたドキュメンタリー映画の制作に取り組んでいました。その撮影地として選ばれたのが、青木ヶ原樹海だったのです。心理学を専攻する鈴木優里（仮名）を中心に、映像制作を学ぶ川嶋亜希（仮名）と佐藤麻衣子（仮名）、ドキュメンタリー映画サークル所属の河田徹（仮名）、そして佐藤麻衣子の恋人である会社員の畑村高次（仮名）といった男女5人は、2006年3月24日、機材と共に樹海へと足を踏み入れます。

しかし、それからわずか3日後の2006年3月27日、彼らの失踪が発覚します。突如として途絶えた連絡、そして発見されたビデオテープ。この空白の3日間に、一体何が彼らの身に降りかかったのでしょうか。テープに映し出された映像の断片だけでは、その全容を掴むことはできません。

事件を担当した山梨県警の刑事（匿名希望）は、発見されたビデオテープを専門機関に依頼し、詳細な検証を進めます。そして、そこである説明不可能な現象が確認されたとの報告を受けます。それは、テープの中で川嶋亜希（仮名）らを極度の恐怖に陥れていた、樹海に潜む「人間」と思しき存在が、鈴木優里（仮名）の父親である鈴木彰（仮名）に驚くほど酷似していたという事実でした。

しかし、ここにさらなる衝撃の真実が隠されていました。事件が発覚するちょうど1年前の夏、鈴木彰（仮名）と断定された遺体が、奇しくもこの樹海で発見されていたのです。既に故人であるはずの人物が、なぜ、そしてどのようにして娘たちのテープに現れたのか。この事実は、単なる偶然や見間違いでは片付けられない、深淵なる謎を示唆していました。

その後の調査で、鈴木優里（仮名）は母親とは疎遠な関係にあり、父親の死についても知らされていなかったことが、母親の証言から明らかになります。また、鈴木優里（仮名）の自宅に残されていた数少ない所持品からは、彼女が父親の行方を探していた可能性も浮かび上がってきました。これらの事実が、樹海での出来事、そしてビデオテープに記録された現象とどのように繋がるのか、全ては霧の中に包まれたままです。

真相を解明するため、そして消えた5人の痕跡を追うため、再びあの忌まわしい樹海へと足を踏み入れることになります。そこで待ち受けるのは、さらなる恐怖か、それとも想像を絶する真実なのでしょうか。

主要なキャストとして、鈴木優里（仮名）を小原麻衣、川嶋亜希（仮名）を高咲里音、佐藤麻衣子（仮名）を染谷有香が演じています。畑村高次（仮名）と河田徹（仮名）の二役を板倉臣郎が務めました。また、大学の元教授役で副島しんごが出演しています。

スタッフは、監督、脚本、撮影、構成を鳥居康剛が一手に手掛け、製作を大橋孝史と国宇克信、プロデューサーを赤羽智比呂が担当しています。独特のリアリティと恐怖演出は、監督の手腕によるものと言えるでしょう。

もう一度検索