命つないで

命つないで

『命つないで』は、1996年の夏、8月から9月にかけてTBS系列の「ドラマ30」枠で放送されたヒューマンドラマです。毎日放送（MBS）によって制作され、同枠で人気を博した「命シリーズ」の第4弾として位置づけられています。この作品は、長年にわたり生き別れていた母と娘が、あるきっかけから再会を果たす物語を主軸に、家族の絆や人生の選択、そして残された時間の中で何を大切にするかを描き出しています。

物語の中心となるのは、あき竹城さんが演じる一人の女性です。彼女は現在、ビル清掃会社「シースリーサービス」の清掃員として質素に暮らしています。しかし、彼女の過去には、辛く悲しい出来事がありました。かつて裕福な家庭の男性と結婚し、愛する娘を授かったものの、夫の母親である姑から家柄の違いを理由に壮絶な嫌がらせを受け、結果として娘を残して離婚させられてしまったのです。以来、彼女は独身のまま、ビル清掃の仕事で生計を立て、ひっそりと生活を送ってきました。

しかし、長年の苦労がたたったのか、彼女の体調は徐々に悪化していきます。医師から余命が長くないことを告げられた彼女は、限られた時間の中で、心残りとなっている唯一のこと、すなわち生き別れた娘にもう一度会いたいという強い願いを抱きます。そして、その切なる思いを込めた手紙を娘に送る決意をします。

一方、娘である藤谷美紀さんが演じる女性は、母親とは全く異なる環境で育ちました。幼い頃に実母と離れてから、裕福な家庭で養母にも大切に育てられ、何不自由なく成長しました。現在は都心で一人暮らしをしながら、OLとして充実した日々を送っています。仕事にも恵まれ、天宮良さんが演じる恋人との関係も順調で、平穏かつ満たされた生活を送っていました。そんな彼女の日常に、突然一通の手紙が届きます。それは、全く記憶にない、しかし血の繋がった実の母親からの「会いたい」というメッセージでした。この手紙をきっかけに、娘は自身のルーツと向き合い、長年疎遠だった実母との再会へと踏み出します。

ドラマでは、清掃会社での主人公を取り巻く人々も描かれます。円城寺あやさんが演じるのは、清掃会社の上司です。「五倍速で動く！」を口癖とし、その行動の素早さから社員たちから陰で「五倍速（ごばいそく）」というあだ名で呼ばれている個性的なキャラクターです。彼女はまた、コーヒーに並々ならぬこだわりを持つ一面も描かれています。

このドラマは、過去の傷を抱えながらも娘との再会に希望を見出す母親と、突然現れた実母に戸惑いながらも絆を確かめようとする娘の姿を通して、親子の情愛や、困難に立ち向かう人間の強さ、そして人生の終末期における尊厳といったテーマを深く掘り下げています。

物語を彩る音楽面では、丸谷晴彦氏が音楽を担当しました。脚本は宮内婦貴子氏、演出は鈴木晴之氏が手掛けています。制作は毎日放送（MBS）が行いました。主題歌には、高山厳が歌う『みんな夢・夢・夢』（作詞：荒木とよひさ、作曲：浜圭介、編曲：今泉敏郎）が採用されています。この曲は一般的なドラマのようにオープニングではなく、物語のエンディングに流れるという特徴的な使われ方をしました。公式サイトの情報はありませんが、テレビドラマデータベースなどで詳細な情報が確認できます。

主なキャスト

あき竹城
藤谷美紀
天宮良
柚原旬
円城寺あや

主なスタッフ

脚本：宮内婦貴子
音楽：丸谷晴彦
演出：鈴木晴之
制作：毎日放送

主題歌

『みんな夢・夢・夢』
唄：高山厳
作詞：荒木とよひさ
作曲：浜圭介
編曲：今泉敏郎

この作品は、昼ドラマならではの情感豊かな筆致で、血の繋がりが生み出す絆の強さ、そして人生の最期に大切な人との関係を修復しようとする登場人物たちの葛藤と希望を描き、多くの視聴者の感動を呼びました。母と娘、それぞれの人生が交錯する時、どのような結末が待っているのか。余命宣告を受けた母の願いは叶うのか。様々な思いが交錯する人間ドラマです。

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