和信百貨店

和信百貨店：京城の隆盛を象徴した百貨店の歴史

和信百貨店（わしんひゃっかてん、화신백화점）は、かつて韓国・ソウル、現在の鐘路区公平洞に位置した百貨店です。日本統治時代の京城において、丁子屋、平田、三中井、三越と並び「五大百貨店」と称され、その中でも唯一、朝鮮人によって経営されていたことで特筆されます。

日本統治時代における誕生と発展

1931年、朝鮮の企業家であった朴興植（パク・フンシク）によって京城府本町（当時）に設立されました。1935年に火災で全焼するという不幸に見舞われましたが、建築家・朴吉龍（パク・キルリョン）の設計により、1937年に地上6階・地下1階建ての建物として再建されました。当時、京城で最も高い建築物であり、内部にはエレベーターとエスカレーター、屋上には電光掲示板が設置されるなど、最新の設備を誇っていました。

韓国独立後の変遷と終焉

1945年の大韓民国独立後も営業を続けましたが、1987年2月に惜しまれつつ閉業。同年6月には建物も撤去されました。その後、百貨店の跡地はサムスングループ会長（当時）の李健熙（イ・ゴンヒ）によって買収され、1999年には鐘路タワー（ミレニアムタワー）が建設されました。しかし、2016年には売却が決定し、同年3月にイージス資産運用へと正式に譲渡されています。

現在の所有者

イージス資産運用に売却後、鐘路タワーはKB資産運用を経て、2022年にはSKグループの所有となっています。和信百貨店は姿を消しましたが、その跡地は時代とともに所有者を変えながら、ソウルのランドマークとして存在感を示し続けています。

和信百貨店は、日本統治時代という激動の時代に、朝鮮人資本によって築き上げられた百貨店であり、その存在は、当時の人々に希望と誇りを与えたことでしょう。その歴史は、韓国の近代史を語る上で、決して忘れてはならない重要な一部分です。

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