和僑会

和僑会

和僑会（わきょうかい）とは、主に香港や中国大陸を起点に、世界各地で事業を展開する日本人企業家、すなわち「和僑」によって構成されるネットワーク組織です。「和僑」という言葉は、海外へ進出し、その国の国籍や永住権を持つ日本人起業家を指す独自の呼称として用いられています。

この組織は、2004年に香港で産声を上げました。その後、世界各地に賛同する日本人企業家のネットワークが誕生し、それぞれの地域で「[現地地名]和僑会」として活動を展開するようになります。こうした各地の組織間の連携を強化し、全体を束ねる機能として、2010年には和僑総会が設立されました。

組織の拡大は続き、2014年を迎える頃には、日本国内はもとより東南アジア諸国を含む世界8カ国、23都市にまで活動の輪を広げていました。

さらなる組織体制の強化を図るため、2016年12月には和僑総会が一般社団法人へと改組されました。この法人化に伴い、各地の和僑会と新たな一般社団法人との間で、いわゆる本部と支部という関係性を明確にする契約が結ばれました。そして、2017年4月には、一般社団法人の名称が「WAOJE（World Association of Overseas Japanese Entrepreneurs）」に変更されます。この名称変更は各地の支部組織にも波及し、多くの旧和僑会支部がWAOJE支部に改称することになりました。

しかし、全ての組織がこの名称変更に同意したわけではありません。一部の地域における和僑会は、従前の「和僑会」という名称をそのまま維持し、独立した形で活動を続けています。これに対し、一般社団法人WAOJE側は、「和僑会」や「和僑」といった名称の商標権を巡り、その返還を求める動きを見せており、名称に関する複雑な状況が生じています。

活動内容

和僑会（現WAOJEを含む）の活動は多岐にわたります。その根底にあるのは、世界で活躍する中国系企業家「華僑」の活動形態に範をとるという思想です。母体となった「香港華南起業家ネットワーク」での活動を基盤に、「和僑ネットワーク」という概念を具現化していきました。このネットワークは、個々の地域で生まれた繋がりが、互いに連携し、より大きな全体へと発展していくことを目指しています。

具体的な活動としては、会員同士の活発な交流機会の提供や、事業における相互支援が挙げられます。これらのネットワーキング活動に加え、海外での起業を目指す日本人を資金面からサポートするための独自の投資ファンド「和僑キャピタル」を設立・運営しています。これにより、新たな「和僑」の誕生を後押しするなど、ベンチャーキャピタルとしての機能も果たしています。

組織は名称変更やそれに伴う課題を抱えつつも、世界各地で事業を展開する日本人企業家の連携強化と、新たな海外起業家の育成に貢献し続けています。

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