和解・癒やし財団

和解・癒やし財団の概要と歴史

和解・癒やし財団（韓国語: 화해・치유재단）は、2015年12月28日の韓国と日本の外相会談で確認された日韓合意に基づいて設立された組織です。この合意は、慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的な解決」を目指すもので、設立は日本政府からの資金提供によって実現しました。特に日本側からの10億円が拠出され、この資金をもとに元慰安婦を対象にした支援事業が行われました。

設立の背景

2015年の韓日合意にあたる内容を受けて、韓国政府は迅速に財団の設立を進めました。2016年7月28日、誠信女子大学校名誉教授の金兌玄が、財団の設立準備委員長として設立を発表し、その後理事長に就任しました。設立記念の記者懇談会が行われた同日、財団事務所の前では抗議活動が展開され、地域団体や大学生たちが合意に反対して声を上げていました。

財団の活動内容

日本政府からの10億円は、当初、現金の支給を介して元慰安婦への補償を行うことを意図していました。財団は生存者には約1億ウォン、亡くなった方の遺族には約2000万ウォンを支給する方針を掲げましたが、結果的に一部の元慰安婦やその家族が現金の受け取りを拒否しました。この拒否の背景には、反対運動を展開している団体からの影響があったと言われています。

2017年以降の展開

2017年5月、文在寅大統領が就任すると、政府内で日韓合意の見直しが行われました。この過程で、金兌玄理事長が「事業が一段落した際に辞任するのが適切」と考え、同年7月に辞任を表明しました。政府が日韓合意に否定的な見解を示した結果、その年の12月には多くの理事が辞任し、財団の運営は困難を極めました。

解散への道

2018年1月、韓国政府が財団に日本政府が提供した資金に相当する額の入金を表明し、この動きにより受け取りを拒んでいた元慰安婦も現金をもらう道が開かれる見込みとなりました。しかし、日本政府からの圧力や、財団の解散を望む声が高まる中、同年11月21日に韓国政府は財団の解散を正式に発表しました。

この解散は、日韓合意が根本的な解決をもたらさないとの判断に基づくもので、多くの人々が支持する意見となりました。

最終報告と解散手続き

2019年6月に財団の解散登記が申請され、7月5日には正式に解散が完了しました。財団設立時に提供された10億円の半分以上が未支給の状態であったことから、その行方は議論の的となりました。日本政府はこの件について問題視し、抗議を行ったと報じられています。

以降、2025年にはソウル中央地裁が財団の資産差し押さえ決定を下し、慰安婦問題解決に向けた動きは引き続き続いています。

成立から解散までの間、和解・癒やし財団は慰安婦問題を巡る多くの対立や葛藤を示す象徴的な存在となりました。

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