和議法

和議法とは

和議法（わぎほう）は、大正11年4月25日に法律第72号として公布された、破産を予防するための強制和議に関する日本の法律です。正式名称を「破産予防ノ為ニスル強制和議ニ関スル法律」といい、1922年（大正11年）4月25日に公布され、2000年（平成12年）4月1日の民事再生法の施行に伴い廃止されました。

概要

和議法は、再建型の倒産処理手続きの一般法として、当時の最新立法であったオーストリア和議法（1914年）を参考に制定されました。1923年1月1日に旧破産法とともに施行され、債務者の破産を未然に防ぐことを目的とした制度でした。和議法における「和議」とは、「破産予防ノ為ニスル強制和議」を指し、「破産宣告前の和議」とも呼ばれていました。この法律は、自然人と法人の両方に和議能力を認めていました。

和議手続は、破産手続きの前段階として機能するものではなく、和議手続きを経ずに破産を申し立てることも可能でした。この点は、和議を必ず経る必要があった他の制度とは異なります。

倒産法制度改革

和議法は、制定から長らく再建型の倒産処理手続きとして役割を果たしてきましたが、いくつかの問題点も抱えていました。特に、担保権者を拘束できないため、債務者にとって使い勝手が悪く、また、債権者にとっても合意された支払いを確実に履行させる手段がないという点が大きな課題でした。

債務者が債権者との合意を反故にすることが可能であったため、和議法は「和議法は詐欺法」と揶揄されることもありました。これは、本来合意に基づき誠実に弁済すべき債務者が、債権者の利益を損なうことを許容してしまうという、制度上の大きな欠陥でした。

このような状況を改善するため、1996年10月から法務省の法制審議会倒産法部会で倒産法制の見直し作業が始まりました。1999年8月26日には、法制審議会総会で「民事再生手続（仮称）に関する要綱」が決定され、これに基づいて民事再生法が成立しました。そして、2000年4月1日に民事再生法が施行されたことに伴い、和議法は廃止されました。

和議法の構成

和議法は、以下の構成で成り立っていました。

第一章　総則（第1条～第11条）
第二章　和議ノ開始（第12条～第40条）
第三章　和議債権及其ノ届出（第41条～第45条）
第四章　債権者集会（第46条～第49条）
第五章　和議ノ認否（第50条～第58条）
第六章　和議ノ廃止（第59条～第61条）
第七章　譲歩及和議ノ取消（第62条～第67条）
第八章　罰則（第68条～第70条）

参考文献

中田淳一（1959）『破産法・和議法』有斐閣

関連項目

倒産法
* 民事再生法

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