咲う アルスノトリア

咲う アルスノトリア：魔法と少女、そして隠された物語

ニトロプラス、グッドスマイルカンパニー、NextNinjaの3社による協業プロジェクトから生まれた『咲う アルスノトリア』は、スマートフォンゲームを起点としたメディアミックス作品です。キャッチコピーである「魔法（かわいい）は負けない。」が示すように、魔法学園都市アシュラムを舞台に、個性豊かな魔法少女たち“ペンタグラム”の成長と、彼女たちを取り巻く様々な出来事を描いた物語です。

プロジェクトの誕生と開発

2017年後半に始まったこのプロジェクトは、ニトロプラス20周年記念タイトルとして、長期間にわたる綿密な準備期間を経て制作されました。ニトロプラスの一肇が原案とメインシナリオを担当し、大塚真一郎を始めとする実力派イラストレーター陣がキャラクターデザインを手がけました。当初は1年でのリリースを目指していましたが、クオリティの追求と新型コロナウイルス感染症の影響により、開発期間は約3年に及びました。

世界観と作風

作品は、「かわいい対カッコイイ」というコンセプトのもと、魔法使いであるペンタグラムと、彼女たちの対抗勢力である美形の男性騎士という対照的なキャラクターたちが織りなすドラマが展開されます。シナリオでは、騎士をペンタグラムにとっての“天敵”として位置付け、彼らの登場シーンでは「Warning」の演出が用いられるなど、緊張感と魅力的な対比が演出されています。また、物語の解釈は視聴者・プレイヤーに委ねられる部分が多く、謎めいた設定や伏線が視聴者の想像力を掻き立てます。アニメ版では、キャラクターたちの日常の楽しさや愛情に満ちた様子が丁寧に描かれており、一見何気ない出来事が後の展開に繋がる伏線として機能している点が特徴的です。ゲーム版とアニメ版ともに、現実世界の料理と架空の料理が数多く登場し、物語に彩りを添えています。

ゲームシステム

ゲームは、「アドベンチャーパート」「バトルパート」「育成パート」の3部構成で、プレイヤーはペンタグラムたちを率いて物語を進めていきます。各ペンタグラムは属性（熱、水、風、光、滅）と固有能力（ギフト）を持ち、属性相性やギフトの特性を考慮した戦略的な戦闘が求められます。また、複数のペンタグラムの秘術を連携させることで、より強力な攻撃や効果を発揮することもできます。ガチャシステムではキャラクターだけでなく、ペンタグラムを強化できる装備アイテム「シジル」も入手可能です。

登場人物：魔法と歴史の融合

本作に登場するペンタグラムたちは、それぞれ歴史上の魔術書や神秘主義的文献をモチーフとしてデザインされています。例えば、アルスノトリアはレメゲトンの『アルス・ノトリア』、メルはエゼキエル書の『メルカバー』、ピカトリクスは『ピカトリクス』など、彼女たちの名前や設定は、これらの文献に由来しています。この点からも、作品の世界観の奥深さと緻密さが伺えます。各キャラクターはそれぞれ個性的な外見、性格、能力を持ち、魅力的なキャラクターたちが物語を彩ります。

メディアミックス展開

『咲う アルスノトリア』は、スマートフォンゲームに加え、2022年にはテレビアニメ『咲う アルスノトリア すんっ！』が放送されました。アニメはゲーム版のストーリーをベースに、ペンタグラムたちの日常や騎士団の暗躍を描いています。また、小説版やコミカライズ版も刊行されており、ゲームやアニメとは異なる視点からの物語を楽しむことができます。特に小説版は、アニメオリジナルキャラクターのリデルを主人公としたオリジナルストーリーが展開されています。

ゲームサービス終了と今後の展開

2023年3月31日にゲームアプリのサービスは終了しましたが、『咲う アルスノトリア』の世界は、アニメ、小説、コミカライズといった様々なメディアを通じて、今後も展開を続けていく予定です。独特な世界観と魅力的なキャラクターたち、そして奥深い物語は、多くのファンを惹きつけてやみません。

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