哀れなるものたち (映画)

映画『哀れなるものたち』について

『哀れなるものたち』（原題: Poor Things）は、2023年に公開されるイギリス・アメリカ・アイルランドの合作によるシュールなSFロマンティック・コメディであり、著名な監督ヨルゴス・ランティモスが手掛けています。この作品には、エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォーといった実力派俳優が出演し、脚本はトニー・マクナマラが担当しています。また、本作はアラスター・グレイによる1992年の同名小説を基にしています。特に、第80回ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞を受賞するなど、早くから高い評価を得ています。

あらすじ

物語は、パラレル・ワールドのビクトリア朝ロンドンを舞台に進行します。医学生のマックス・マッキャンドルスは、外科医かつ研究者のゴッドウィン・バクスター（愛称：ゴッド）の助手に選ばれます。ゴッドは知能が未発達の成人女性ベラ・バクスターの研究を行っており、マックスにはベラが覚えた言葉や食事を記録する任務が与えられます。

ベラはゴッドの家に閉じ込められ、日々言葉や感情を体得し、やがて性に関する喜びも学びます。マックスは彼女に強く惹かれていくものの、彼女の正体が妊婦の自殺後に生き返らせた胎児の脳を持っていることを知ります。

マックスはベラに結婚を申し込み、彼女もそれを受け入れますが、次第に知性を身に着けたベラは外の世界に対する興味を持ち始め、最終的には弁護士ダンカン・ウェダバーンとの駆け落ちに発展します。リスボンで自由な生活を楽しむ一方、ベラは次第に自分の欲求に忠実になり、他者との関わりを持つようになります。

彼女は、同じ船に乗るマーサとハリーとの哲学的な会話を通じて、更なる知恵を得ていきます。そんな中、彼女は貧しい人々の現実に直面し、彼らを助けたいという思いから、ダンカンのお金を使ってしまい、二人はマルセイユに降ろされてしまいます。そこでベラは生活を賄うために売春婦として働き始めることに。

ダンカンは精神的に追い詰められ、ベラは彼から離れ、売春宿で別の女性トワネットと友達になります。トワネットからは社会主義の思想を学ぶ一方で、ゴッドは新たな実験体のフェリシティを研究していましたが、間もなく病に倒れてしまいます。ベラは再びゴッドの元へ戻りますが、彼女は自身の出自についての衝撃的な真実を知り、失望を覚えます。

しかし、マックスとの関係が修復され、二人は再び結婚を誓います。結婚式の最中、アルフィー・ブレシントン将軍が乱入し、ベラを連れ去ることを試みます。アルフィーの家に行ったベラは、彼の非道な本性を目の当たりにし、ヴィクトリアの過去に迫ることになります。最終的には、逃げるためにアルフィーと対峙し、彼を傷つけてしまうのです。

ゴッドはベラとマックスに見守られながら息を引き取り、ベラは医者として彼の研究を引き継ぐ決意を固めます。その後、アルフィーにはヤギの脳が移殖され、彼は草を食べる生活に変わります。結末では、ベラは新たな生活を始め、作中のさまざまなキャラクターたちと共に優雅な時間を過ごす姿が描かれます。

製作背景

『哀れなるものたち』は、2021年2月にヨルゴス・ランティモスとエマ・ストーンが再びタッグを組むことから企画が始まりました。撮影は同年8月にハンガリーで行われ、2023年12月にはアメリカで公開される予定でしたが、ストライキの影響で公開日が延期されました。日本では2024年1月26日に公開が予定されています。本作品は295スクリーンでの大規模公開が行われることが決まっており、音響面でもDolby Atmos版が提供されるなど、注目されています。

もう一度検索