唇からナイフ

スパイ映画の金字塔『唇からナイフ』：石油、ダイヤモンド、そして女スパイの活躍

1966年公開の映画『唇からナイフ』（原題：Modesty Blaise）は、ピーター・オドネルの同名人気漫画を原作としたスパイアクションです。ジョゼフ・ロージー監督、そしてモニカ・ヴィッティ主演という豪華な布陣で贈る本作は、国際的な陰謀と、それをめぐるスリリングな駆け引きを描いた傑作として知られています。

物語は、イギリスが中東のマサラ国との石油取引において、同国の元首であるシークからの要求に応えるべく、貴重なダイヤモンドを贈ることから始まります。この機密情報は、当然のことながら国際犯罪組織の耳にも入り、危険が迫ります。そこで、イギリス秘密情報部長のタラントは、冷酷で美しく、そして極めて高い能力を持つ女犯罪者モデスティ・ブレイズに、ダイヤモンドの護衛という危険な任務を依頼します。

モデスティは、独自の条件として、相棒であるウィリー・ガーマットの協力を要求。こうして、モデスティとウィリーという、正反対の個性を持つ二人の凸凹コンビが、危険なミッションに挑むことになります。

しかし、犯罪組織のボス、バシリオは、巧妙な罠を仕掛け、ウィリーを捕らえ、ダイヤモンドを奪取します。絶体絶命の状況に陥ったモデスティですが、持ち前の知略と、時に大胆な色仕掛け、そして巧妙な変装を駆使して、ウィリーとダイヤモンドの奪還に挑みます。

彼女は、犯罪組織の目を欺き、次々と待ち構える罠を回避しながら、ウィリーを救出し、盗まれたダイヤモンドを取り戻します。しかし、組織の追っ手が迫り、モデスティは窮地に陥ります。まさに危機一髪の瞬間、ウィリーから連絡を受けたシークが、自身の部下を率いて、颯爽と現れ、モデスティを救出。犯罪組織を撃退し、無事にダイヤモンドを取り戻します。

本作の魅力は、モニカ・ヴィッティ演じるモデスティ・ブレイズのキャラクターにあります。彼女は単なるスパイではなく、知性と美貌を兼ね備え、時に大胆な行動で敵を翻弄する魅力的な女性です。また、ウィリーとの絶妙なコンビネーションも、物語に緊張感とユーモアをもたらしています。

『唇からナイフ』は、華麗なアクションシーンと、緊迫感あふれる展開、そして予測不能なストーリー展開で、観る者を最後まで飽きさせません。石油取引、ダイヤモンド、そして女スパイという魅力的な要素が絡み合い、国際的な陰謀に巻き込まれていくモデスティの姿は、まさにスパイ映画の金字塔と言えるでしょう。1971年にはTBS系列の『月曜ロードショー』で放送され、現在ではブルーレイディスクでも視聴可能です。様々な媒体で、その魅力を再確認できます。

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