善人エド

『善人エド』：運の悪いスポーツマンの珍道中

[1955年]]、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]傘下の[[テックス・アヴェリー監督によって制作された短編アニメーション『善人エド』(原題:Field and Scream)は、アメリカのスポーツマン、エド・ジョーンズの狩猟模様をコミカルに描いた作品です。

主人公のエドは、鱒釣り、鴨狩り、鹿狩りと、様々な狩猟に挑みますが、彼の計画はことごとく裏目に出て、予想外のハプニングが次々と起こります。 彼の行動は、台詞を持たない無言劇で表現され、ナレーションがその様子をユーモラスに解説します。

鱒釣り：トラブル続出の釣り大会

静かな湖で釣りを始めたエド。しかし、彼の周囲にはたちまち大勢の釣り人が集まり、釣り場は大混雑に。子供たちが次々と鱒を釣り上げるのを見て、エドは子供と同じ釣り竿を使うものの、「おじさんじゃ嫌だよ」と鱒たちに拒否されてしまいます。

さらに、湖に入って釣りをする人を見て真似をしますが、エドは水に沈んで溺れてしまいます。実は湖の中で平然と釣りをしていたのは、驚くべきことに超長脚の男だったのです。

水草が邪魔になったエドは、なんとモーターボートと芝刈り機を組み合わせた奇想天外な方法で水草を刈り取ろうとします。釣り糸が絡まった時は、櫛とハサミを使って糸を丁寧に整え、糸車が自動で釣り糸を伸ばす不思議な釣り竿を使用するなど、彼の発明品の数々は視聴者の笑いを誘います。

そして、毛ばりを帽子に挟んで釣りをしていたところ、大きな魚が飛び出してきて、帽子ごとエドの頭を飲み込んでしまうという、とんでもない事態に発展します。イクラを餌にした際には、鱒がイクラを釣り針から外して目玉焼きにしてしまうという、まさかの展開が待っていました。

大物を狙って湖の真ん中まで船を漕ぎ出したエドでしたが、彼が魚を釣り上げた途端、周囲の釣り船が次々と押し寄せ、エドは再び騒動に巻き込まれていきます。

鴨狩り：空と陸の戦場

静かな水辺で鴨狩りを始めるエド。しかし、彼が銃を撃った瞬間、周囲からは大量の銃弾が乱れ飛び、まるで空襲のような状況に。鴨は被弾して炎を噴きながら墜落しますが、なんと羽毛に包まれた胴体から毛のない中身が、飛行機のようにハッチを開けてパラシュートで脱出するという、驚愕の光景が繰り広げられます。

鴨笛でおびき寄せようとするエドですが、鴨の方からも鴨笛が聞こえてきます。さらに、エドは色っぽいヌードの雌鴨のレプリカを使って鴨をおびき寄せようとしますが、雄鴨たちに素早く奪われてしまいます。

最新式のバックミラー付きの散弾銃、空気ポンプ付きの空気銃、そして象の鼻のように動く銃身を持つ巨大な猟銃と、エドは様々な銃器を使いますが、どれも上手くいかず、最後は銃が草を抜き取ってエドの口に押し込むという、予想だにしない結末を迎えます。

鹿狩り：ハンターと獲物の逆転劇

鹿狩りでは、誤って人を撃たないよう、ハンターが派手な衣装を着ているにも関わらず、あっけなく撃たれてしまうというシーンが登場します。エドはお姑さんに鹿の毛皮のような服を着せて狩りに参加させますが、当然のごとくお姑さんは獲物となり、エドは帽子を脱いで哀悼の意を表します。

鹿を追いかけるエド。遠くから銃声が聞こえてきます。狩猟が終わり、ハンターたちが撃った鹿を車に括り付けて帰っていく中、エドは鹿に車に縛り付けられ、鹿が運転する車に連れ去られていくという、皮肉な結末で物語は幕を閉じます。

最後にナレーションが「世の中上手くいきませんね」と締めくくり、エドの不運な狩猟体験は、ユーモラスかつ皮肉たっぷりに描かれています。

『善人エド』は、独特のユーモアとシュールな展開で、観る者を飽きさせない魅力的な作品です。 シンプルなストーリーの中に込められた、アヴェリー監督ならではのセンスが光る、まさに傑作アニメーションと言えるでしょう。

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