善福寺 (岐阜市)

松涛山善福寺は、岐阜県岐阜市にある浄土真宗本願寺派の寺院です。この寺院は、創建当初の本尊であった十一面千手観音にちなんで、千手堂とも呼ばれています。所在地名である千手堂という地名も、この寺院に由来するものです。

善福寺の歴史は古く、天暦9年（955年）に天台宗の僧侶である浄観によって、十一面千手観音を本尊とする天台宗寺院、専浄寺として開創されました。その後、嘉禎元年（1235年）には、当時の住職であった覚信が親鸞聖人に深く帰依し、了道と名を改めました。この出来事は、善福寺が後の浄土真宗に改宗する上で重要な転換点となりました。

戦国時代の永禄10年（1567年）には、織田信長が岐阜に入城した際、善福寺に禁制を下しています。このことから、当時から善福寺が地域において一定の存在感を持っていたことがうかがえます。慶長5年（1600年）の岐阜城の戦いでは、金華山の山麓にある御手洗池から阿弥陀如来が出現し、この阿弥陀如来像は寺内に安置されました。この出来事は、寺の信仰における新たな要素となり、地域の人々の間で語り継がれていきました。

翌年の慶長6年（1601年）に、善福寺は浄土真宗西本願寺派に改宗し、本山から善福寺の寺号を授かりました。これにより、善福寺は浄土真宗の寺院として新たな歴史を歩み始めることとなりました。しかし、昭和20年（1945年）の岐阜空襲により、寺の伽藍は焼失してしまいました。現在の本堂は、この空襲による焼失後、再建されたものです。善福寺は、創建から現在に至るまで、地域の歴史と人々の信仰を支える重要な存在であり続けています。

善福寺は、その歴史の中で、天台宗から浄土真宗へと宗派を変えながらも、地域の人々の心の拠り所として、また、歴史的な出来事を伝える場所として、その役割を果たしてきました。現在の本堂は、過去の災害を乗り越え、再建されたものであり、この寺の歴史と復興の象徴となっています。参拝者は、この寺を訪れることで、歴史の重みを感じ、心の安らぎを得ることができるでしょう。

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